学校法人会計基準の一部改正について(通知)

文高法第232号 昭和62年8月31日
文部大臣所轄各学校法人理事長あて 文部省高等教育局長通知


 このたび,別添のとおり「学校法人会計基準の一部を改正する省令」が,昭和62年8月31日文部省令第25号をもって公布され,昭和63年度以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成から適用されることになりました。
 改正省令の趣旨,内容の概要及び施行に当たり留意すべき事項は下記のとおりでありますので,御了知の上,事務処理上遺憾のないようお取り計らい願います。

      記

T 改正の趣旨
 学校法人会計基準は,その制定以来今日までの施行を経て,現在では,私立学校振興助成法第14条第1項に規定する基準として広くその定着を見ているところであるが,これまでの運用の状況をふまえ,基準の一層の整備を図るため基本金の組入れを中心に所要の改正を行ったものである。

U 改正の内容の概要

1.第30条第1項第1号及び第2号前段を合わせて新たに第1号とし,第2号の後段を独立させて新たに第2号としたこと。

2.第30条第1項第4号に規定する恒常的に保持すべき資金の額は,別に文部大臣の定める額とし,統一的な基本金組入れを行うこととしたこと。
 文部大臣の定めは,別添「恒常的に保持すべき資金の額について」のとおりであり,その概要は,次のとおりである。
〈1)原則
当年度の保持すべき資金の額は,前年度の消費支出の人件費(退職給与引当金繰入額(又は退職金)を除く。),教育研究経費 〈減価償却額を除く。),管理経費(減価償却額を除く。)及び借入金等利息の決算額の合計額の12分の1の額(100万円未満の端数金額は切り捨てることができる。)とすること。
(2〉 特例
@ 上記(1)により計算した額〈以下「計算額」という。)が,前年度の保持すべき資金の額を下回るときは,上記〈1)の規定にかかわらず,前年度の保持すべき資金の額をもって,当年度の保持すべき資金の額とすること。
A 計算額が,前年度の保持すべき資金の額の100分の100を超えて100分の120の範囲内にあるときは,上記(1)の規定にかかわらず,前年度の保持すべき資金の額をもって,当年度の保持すべき資金の額とすることができること。
(3)経過措置
@ 昭和63会計年度に係る計算額が,昭和62会計年度末基本金額〈改正前の省令第30条第1項第4号に係る基本金の額をいう。)を下回るときは,計算額の100分の100以上昭和62会計年度末基本金額(計算額の100分の200を超える場合にあっては,当該計算額の100分の200を限度とする。)以下の範囲内において,学校法人が定める額をもって,昭和63会計年度の保持すべき資金の額とすること。
A 昭和63会計年度に係る計算額が,昭和62会計年度末基本金額の100分の100を超えて100分の120の範囲内にあるときは,昭和62会計年度末基本金額をもって,昭和63会計年度の保持すべき資金の額とすることができること。

3.第30条第1項第2号又は第3号に規定する基本金への組入れは,固定資産の取得又は基金の設定に係る基本金組入計画に従って行うものとしたこと〈第30条第2項)。

4.第30条第1項第1号に規定する固定資産を借入金〈学校債を含む。)又は未払金〈支払手形を含む。)により取得した場合において,当該借入金又は未払金に相当する金額については,当該借入金又は未払金の返済又は支払(新たな借入金又は未払金によるものを除く。)を行った会計年度において,返済又は支払を行った金額に相当する金額を基本金へ組み入れるものとし,統一的基本金組入れを行うこととしたこと(第30条第3項)。
 この統一的な組入方法は,知事所轄学校法人にも同じく適用することとしたこと(第38条第3項の規定の削除〉。

5.貸借対照表の記載科目及び様式を次のように改めたこと(別表第3,第6号株式)。
(1)「基本金の部」を,第30条第1項の各号別に,「第1号基本金」,「第2号基本金」,「第3号基本金」及び「第4号基本金」と区分したこと。
(2)「流動負債」の小科目として,「学校債」を加えたこと。

6.退職給与引当金の額の算定方法を貸借対照表に脚注として記載することとしたこと(第34条第4項,第6号様式)。

7.従来の特定基本金の名称を第3号基本金と改めたことにより,別表第1,別表第3,第1号様式,第6号株式及び第7号様式の所要の箇所を整備したこと。

8.基本金明細表を改めたこと(第9号様式)。

9.基本金明細表の付表として,第2号基本金及び第3号基本金の組入れに係る計画表を添付することとしたこと(第9号様式の備考)。

10.改正後の学校法人会計基準の規定は,昭和63年度以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用することとし,昭和62年度以前の会計年度に係るものについては,なお従前の例によることとしたこと(附則第2項)。

V 施行に当たり留意すべき事項

1.第30条第1項関係
(1〉 第2号基本金
 第2号基本金は,学校法人が将来取得を予定している固定資産についてその取得資金を先行的に組み入れたものであるので,当該固定資産に係る第2号基本金の額は,その取得時点において第1号基本金に振り替わるものであること。
〈2)第4号基本金
@ 上記Uの2の(2)のAの定めは,原則に従って毎会計年度計算額との不足差額を組み入れる煩雑な会計処理を簡素化する趣旨で設けた特例である。この運用に当たっては,計算額との差額が消費収支計算に過度の負担とならないうちに,適時組み入れるように努めること。
               
A 上記Uの2の(3)の@の経過措置の適用により,昭和62会計年度末基本金額を下回る額をもって昭和63会計年度の保持すべき資金の額とした場合にあっては,その余分の額は,昭和63会計年度において組み入れる第1号基本金,第2号基本金又は第3号基本金へ振り替える処理を行い,この処理を経た上でなお余分の額を生じた場合にあっては,昭和63会計年度未において,基本金を修正する方法により基本金から当該余分額を減ずる処理を行うこと。      
 なお,各号基本金へ振り替えた場合には,その旨を基本金明細表の摘要欄に記載し,また基本金を修正した場合には,消費収支計算書の基本金取崩額の欄に「修正000円」と記載するとともに,その旨を基本金明細表の摘要欄に記載すること。       
B 昭和63会計年度に係る計算領が昭和62会計年 末基本金額の100分の120を超える学校法人にあ ては,計画を立てて年次的に計算額との不足差額を組み入れ,早い時期において当年度の保持すべき資金の額に達するように努めること。

2.第30条第2項関係
(1)基本金組入れに当たっては,次の諸点に留意すること。
@ 高額な固定資産の取得に係る基本金組入れは,取得年度に集中することのないよう,取得に先行して,第30条第1項第2号及び第2項の方法により組入計画に従って,年次的・段階的に行うこと。
A 第3号基本金に係る基金は,その主たる財源が特別寄付金以外の収入である場合にあっては,長期的観点からその形成を図ることとし,その基本金組入れは,組入計画に従って,年次的・段階的に行うこと。
(2)第2号基本金及び第3号基本金に係る組入れは,基本金組入計画に従い計画的に行われるべきものであるので,当年度又は前年度の消費収入超過状況の如何によるそのつどの組入予定額の変更はしないこと。
(3)第2号基本金及び第3号基本金の組入れに係る計画は,理事会及び評議員会(私立学校法第42条第2項の規定に基づき,寄附行為をもって評議員会の議決を要することとしている場合に限る。)で決定すること。 なお,理事会のみが決定の権限を有する場合であっても,将来の継続的予算措置にかかわる事柄であるので,決定に先立ち,あらかじめ評議員会の意見を聞いておくことが望ましいこと。
(4)第2号基本金及び第3号基本金の組入れに係る計画表は,第9号様式の備考に定める様式に従って作成し,基本金明細表に添付すること。

3.第30条第3項関係           
(1)「新たな借入金又は未払金によるものを除く。」とは,新たな借入金又は未払金を資金とする既存の借入金又は未払金の返済又は支払を除外する趣旨であること。                 
〈2)この省令の施行の際,改正前の第30条第2項の規定により,基本金への組入れが昭和63会計年度以後の会計年度に繰り延べられている金額については,改正後の第30条第3項の規定により,当該借入金(学校債を含む。)又は未払金(支払手形を含む。)の返済又は支払〈新たな借入金又は未払金によるものを除く。)を行った会計年度において,返済又は支払を行った金額に相当する金額を基本金へ組み入れるものであること。               
 なお,この省令の施行前に既に基本金へ組み入れた分については,従前のとおりであること。    
(3) 「『基本金設定の対象となる資産及び基本金の組入れについて(報告)』について」〈昭和49年2月14日付け文管振第62号文部省管理局長通知)の別添の学校法人財務基準調査研究会報告書の2は,昭和63年度以後の会計年度に係る会計処理については適用されないこと。

4.貸借対照表関係
 退職給与引当金の額の算定方法の脚注への記載は,学校法人が現に採用している算定方法を記載すること。
(例)いわゆる期末要支給額計上方式により,その00%を引き当てている学校法人
「退職給与引当金の額の算定方法は次のとおりである。期末要支給額000円の○○%を計上している。」

5.基本金明細表関係
別紙「基本金明細表の記載例」を参考とすること。

6.第2号基本金及び第3号基本金の組入れに係る計画表関係
(1)作成期間
@ 第2号基本金の組入れに係る計画麦は,第2号基本金に係る固定資産の取得が終了する年度までの間毎年度作成すること。
A 第3号基本金の組入れに係る計画表は,当該基金の組入額が組入目標額に達する年度までの間,毎年度作成すること 〈様式第2の(注)1)。
 ただし,昭和63年度においては,第3号基本金の当期末残高に含まれるもののすべてについて作成すること(同上)。
〈2)計画の変更
第2号基本金及び第3号基本金の組入れに係る計画の変更は,理事会等の決定により行う必要があること。
 なお,次の場合にはそのつどの計画変更の手続を省略する旨を当初の計画決定の際に併せて決定しておくこと。
@ 当年度組入額が組入予定額を下回った場合一この場合には,不足差額分は,自動的に次回の組入予定額に加算する扱いとする。
(ただし,計画表の組入予定額の記載額は従前どおりとしておくこと。)
A 特別寄付金が当年度に予定していた組入予算額を上回った場合−−この場合には,当該特別寄付金の額のみを組み入れ,超過額分は自動的に次回の組入予定額から減ずる扱いとする。(ただし,計画表の組入予定額の記載額は従前どおりとしておくこと。)
(3)基本金組入計画表の記載上の留意点
「第2号基本金の組入れに係る計画表」(株式第1〉 関係
ア.この計画表は,相互に独立性を有する事業を単位として,計画ごとに作成すること。

イ.「計画の名称」は,計画単位ごとの名称を記載するものとし,特に名称がない場合は記載する必要がないこと。
ウ.変更決定を行った場合には,変更理由を摘要欄に記載すること。
(例)取得予定固定資産000の追加〈削除),   取得予定固定資産000の取得予定年度の変更,所要見込総額の増額(減額)
エ.「固定資産の取得計画及びその実行状況」について
(ア) 「取得予定固定資産」は,第2号基本金に係る取得予定固定資産のみを,枚地,校舎,機器備品,図書等の種類別に記載すること。
 なお,同じ種類のものは,一括して記載してよいこと。
 (例〉(校舎2棟を建設する場合)
  2棟を個別に記載しても,又は一括して「校舎2棟」と記載してもいずれでもよいこと。
(イ)「取得予定年度」については,国定資産の別又は一括のいずれによって記載してもよく,また,将来の複数年度のいずれかにおいて取得する予定である場合は「00〜00年度」と記載してよいこと。
(ウ)取替更新の場合には,除却資産の取得額を控除した額を「取得額」として記載すること。
(エ)「取得額」及び「第2号基本金から第1号基本金への振替額」は,週年度分については,一括して記載すること。
(オ) 「摘要」欄に,取得予定固定資産の所要見込総額の概算額を記載すること。
オ.「基本金組入計画及びその実行状況」について
(ア) 過年度分については,一括して記載すること。
(イ) 将来00年間にわたり毎年度同額の組入れを計画している場合には,「組入計画年度」及び「組入予定額」の欄には,一括して「00〜00年度,毎年度00円」と記載してよいこと。
〈ウ)「摘要」欄の「第2号基本金当期末残高」には,「組入額」の計から「第2号基本金から第1号基本金への振替額」の計を差し引いた残額を記載すること。
A 「第3号基本金の組入れに係る計画表」(様式第2・3)関係ア.様式第2関係
(ア) この計画表は,基金の単位ごとに作成すること。
〈イ)「組入目標額」は,設定する基金の計画総額を記載すること。
 なお,組入額が計画総額に達した後においても,これに加えて基金の運用果実の事業使用残額又は学校法人の募集によらない特別寄付金を引き続き基本金へ組み入れていく方針である場合には,その旨を「組入目標額」の欄に併せて記載すること(この場合の「組入目標額」は,計画総額並びに組入額が計画総額に達した後における基金の運用果実の事業使用残額及び学校法人の募集によらない特別寄付金額の合計となる。)。この場合,「組入計画年度」及び「組入予定額」の欄には,計画総額のみについて記載すること。
(ウ)基金の運用果実の事業使用残額を基本金へ組み入れている場合には,「摘要」欄にその旨及び当該額を記載すること(組入額の全額が当該額のみであるときは,金額の記載は要しない。)。
(エ)変更決定及びその他の「基本金組入計画及びその実行状況」については,上記@のウ.及びオ.と同じ扱いとすること。
イ.様式第3関係
 「組入目標額」が上記アの(イ)のなお書きによる基金にあっては,組入額が計画総額に達した後においては,様式第2の計画表に代えて,様式第3の計画表によることができるものであること(様式第3の(注)〉。

    (別紙)基本金明細表の記載例……省略……