「小規模法人における会計処理等の簡略化に
ついて(報告)」について(通知)
文管振第87号 昭和49年3月29日
各都道府県知事あて 文部省管理局長通知
このことについて,昭和49年3月12日に学校法人財務基準の調査研究会から別添のとおり報告を受けましたので送付します。 ついては,貴職所轄の学校法人に村し,小規模法人における会計処理等の簡略化については,この報告の趣旨により適切な処理がなされるよう御指導願います。 なお,この報告において小規模法人とは,当面都道府県知事所轄の学校法人がこれに該当するものとして考えております。 |
報 告 昭和49年3月19日 学校法人財務基準調査研究会 座長 古川 栄一 小規模法人における会計処理等の簡略化については,従来から諸種の試みがなされているが,当調査研究会においてもこれについて検討した結果,このほど別紙のような結論を得たので報告します。 |
〈別 紙) 小規模法人における会計処理等の簡略化について 1.小規模法人においては,その事務体制等の実態にかんがみ,学校法人会計基準の要請する基本的事項を逸脱しない範囲内において,次のような会計処理の簡略化の措置を行うことができるものとする。 〈1)日常の取引については,支払資金の収入・支出を中心に会計処理を行い,消費収支計算に関する会計処理は,主として会計年度末にその整理を行うこととする。 (したがって,未収入金,未払金の発生並びに現物寄付金,減価償却額の計上など支払資金の収入・支出とならない取引については,期中における会計処理を省略し,会計年度末において一括して処理することができる。ただし,前期末前受金及び前期末前払金については,会計年度始めにおいて処理することが望ましい。〉 (2)一定の契約に基づいて継続的に受ける用役に対する支出(電気,ガス,水道,電話,保険料の料金)の処理については,会計年度末における前払金や未払金の計上を省略し,当該用役に対する支払資金の支出をした会計年度の消費支出として処理することができる。 また,一定の規約に基づいて継続的に受ける収入(受取利息等)についても,上記に準じて処理することができる。 (3〉 販売用文房具,制服等の購入支出については,当該物品を購入した会計年度の消費支出として処理することができる。ただし,会計年度未において当該物品の有高が多額である場合には,当該有高を消費支出とすることなく流動資産として貸借対照表に計上処理しなければならない。 〈4)幼稚園のみを設置する学校法人にあっては,運動会,学芸会等日常の教育活動の一還としての諸行事に係る経費並びに保育研修会,楽器指導講習会等教職員の資質向上のための研修会,講習会等への参加に係る経費については,それぞれ形態分類によらない小科目を設定することができる。ただし,これらの小科目の金額が多額となる場合は,その小科目の内訳を形態分類により表示することが適当である。 2.小規模法人における帳簿組織等の簡略化については,多種の方法が考えられるが,参考までにその一例を示せば次のとおりである。この例は,学校法人の日常の取引記録から計算書類作成に至るまで系統的に示したものであるが,各学校法人においてこれを実務に取入れる場合は,たとえば,入・出金伝票,資金収支日報等の作成段階ごとに他の適当な帳簿による等,実情に応じた適切な代替措置により処理することも考えられる。 |
(様式第4号)
昭 和 年 度
事 項 |
左 側(借 方) | 右 側(貸 方) | ||||
科 目 | ク | 金額 | 科 目 | 金額 | ||
1.繰越支払資金の整理 | 前年度繰越支払資金 |
現 金 預 金 |
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前年度繰越分の振替 | ||||||
次年度繰趣分の振替 | 現金預金 前 受 金 |
次年度繰越支払資金 前期末前受金 |
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2.資産・負債科巨=こ関連する資金収支科目の整理 | ||||||
前期末前受金(収入調整勘定)と前受金との振替〈前受金の減) | ||||||
前期未未収入金と未収入金の振替〈未収入金の減) | 前期未未収入金収入 |
未 収 入 金 |
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長期借入金収入と長期借入金との振替(長期借入金の増) | 長期債入金収入 |
長 期 借 入 金 |
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短期借入金収入と短期借入金との振替(短期借入金の増) | 短期借入金収入 |
短 期 借 入 金 |
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・前受金収入を前受金に振替(前受金の増) | 前 受 金 収 入 |
前 受 金 |
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貸付金回収収入と貸付金との撮替(貸付金の減) | 貸付金回収収入 |
貸 付 金 |
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預り金受入収入と預り金との振替(預り金の増) | 預 り 金受入収入 |
預 り 金 | ||||
仮払金収入と仮払金との振替(仮払金の減) | イ反 私 金 収 入 |
仮 払 金 | ||||
期末未収入金(収入調整勘定)の未収入金への振替 | 未収入金 長期借入金 |
期末未収入金 長期借入金返済支出 |
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〈未収入金の増) | ||||||
長期借入金返済支出と長期借入金との振替(長期借入金の減) | ||||||
短期借入金返済支出と短期借入金との振替(短期借入金の減) | 短 期 借 入 金 |
短期借入金返済支出 |
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機器備品支出の機器備品への振替(機器備品の増) | 機 器 備 品 |
機 器 備 品 支 出 | ||||
貸付金支払支出の貸付金への振替(貸付金の増) | 貸 付 金 |
貸付金支払支出 |
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前期末未払金支払支出と未払金との振替(未払金の減) | 未 払 金 |
前期未未払金支払支出 |
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預り金支払支出と預り金との振替(預り金の減) | 預 り 金 | 預 り 金支払支出 |
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前払金支払支出の前払金への振替(前払金の増) | 前 払 金 |
前払金支払支出 |
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期末未払金(支出調整勘定)と未払金との振替(未払金の増〉 | 期 末 未 払 金 |
未 払 金 |
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退職金支出と退職給与引当金との撮替〈引当金の減) | 退職給与引当金 園 蓋二 |
退職金支出 図書支出 |
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(退職給与引当金が設定してある場合) | ||||||
図書支出を図書に振替(国書の増) | ||||||
土地取得引当特定預金への繰入支出の土地取得引当特定預金へ | 土地取得引当特定預金 退職給与引当特定預金 退職給与引当特定預金 |
土地取得引当特定預金 |
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の撮替(土地取得引当特定預金の増) | ′\の繰入支出 | |||||
退職給与引当特定預金への繰入支出の退職給与引当特定預金へ | 退職給与引当特定預金 |
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の振替(退職給与引当特定預金の増) | ハ\の繰入支出 | |||||
退職給与引当特定預金からの繰入収入の退職給与引当特定預金 | 退職給与引当特定預金 有価証券 |
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との振替(退職給与引当特定預金の減) | からの繰入収入 有価証券売却収入 有価証券売却収入 |
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3.資産の売却に係る資金収支科目の整理と消費収支科目の付加 | ||||||
有価証券売却収入が有価証券の簿価を超える場合,その差額を | ||||||
帰属収入に計上 | 有価証券売却差額 | |||||
有価証券売却収入が有価証券の簿価を下回る場合,その差額を | 有価証券 土 地 |
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消費支出に計上 | 有価証券処分差額 | |||||
土地売却収入が土地の簿価を超える場合,その差額を帰属収入 | 土地売却収入 機器備品売却収入 |
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に計上 |
土 地 売 却 差 額 | |||||
機器備品売却収入が機券備品の侍価を下回る場合,その差額を | 機器備品 棟器備品 |
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消費支出に計上 | 機器備品処分差額 減価償却引当金 機器備品処分差額 |
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4.資産の除却,廃棄に係る消費支出科目の付加 | ||||||
横器備品を除却又は廃棄した場合,機器備品の簿価相当額を消 | ||||||
支出に計上 | 減価償却引 当金 | |||||
固定資産(図書)を廃棄する | 図書処分額 機器備品 |
図 書 現物寄附金 |
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5.消費収支科目の付加 | ||||||
現物寄附の受入れ | ||||||
減価償却額の計上 退職給与引当金の繰入 |
減価償却額 退職給与引当金繰入額 |
建物減価償却引当金 構築物減価償却引当金 機器備品減価償却引当 金 車輌減価償却引当金 退職給与引当金 |
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6.販売用品の棚卸整理 |
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期首用品の振替 期末用品の凍替 7.基本金の組入 基本金組入 |
補 助 活 動 支 販 売 用 品 基 本 金 組 入 |
販 売 用 品 補助 活 動 支 出 基 本 金 |
(様式第5号) |
精 算 表
貸借対照表科目 |
期首貸借対照表 | 非資金取引仕訳 | 期末貸借対照表 | 備 考 | |||
左側(資産) | 負債等) | 左側(借方) | 右側(貸方) | 左側〈資産) | (負債等) | ||
土 地 | |||||||
建 物 | |||||||
建物減価償却引 当 金 | |||||||
構 築 物 | |||||||
構築物減価償却引当金 | |||||||
機 器 備 口。 | |||||||
機器備品減価償却引当金 | |||||||
車 輌 | |||||||
車輌減価償却引当 金 | |||||||
図 童 | |||||||
土地取得引当特定預金 | |||||||
退職給与引当特定頭金 | |||||||
現 金 預 金 | |||||||
未 収 入 金 | |||||||
販 売 用 。口 | |||||||
貸 付 金 | |||||||
有 価 ■ 証一 券 | |||||||
前 払 金 | |||||||
仮 払 金 | |||||||
長 期 借 入 金 | |||||||
退 職給 与引 当 金 | |||||||
短 期 借 入 金 | |||||||
未 払 金 | |||||||
前 受 金 | |||||||
預 り 金 | |||||||
基 本 金 | |||||||
前年度繰越消費収支差額 | |||||||
当 年度消費 収支差額 | |||||||
合計 |
収 支 科 目 | |||||||
前 年度 繰越支払資金 | |||||||
授 業 料(収 入) | |||||||
入 学 金〈収 入) | |||||||
施設設備資金〈収 入) | |||||||
教 材 費(収 入) | |||||||
入学検 定 料(収 入) | |||||||
地方公共団体補助金収入) | |||||||
受 取 利 息(収 入) | |||||||
施設設備利用料(収 入) | |||||||
土 地 売 却 収 入 | |||||||
機 器備品売却 収 入 | |||||||
有 価証券売却 収 入 | |||||||
補 助 活 動 収 入 | |||||||
雑 収 入 | |||||||
長 期 借入金 収 入 | |||||||
短 期 借入金 収 入 | |||||||
前 受 金 収 入 | |||||||
退職給与引当特定預金繰入収入 | |||||||
前期 未未収入 金収入 | |||||||
貸 付 金 回収収 入 | |||||||
預 り 金 収入支 出 | |||||||
仮 払 金 収入支 出 | |||||||
期 末 未 収 入 金 | |||||||
前 期 末 前 受 金 | |||||||
教 員 人件費(支 出) | |||||||
職 員 件 費(支 出) | |||||||
役 員 報 酬(支 出) | |||||||
退 職 金(支 出) | |||||||
教 材 費〈支 出) | |||||||
消 耗 品(支 出) | |||||||
光 熱 水 費(支 出〉 | |||||||
旅 費 交通費(支 出〉 | |||||||
交 際 費(支 出) | |||||||
通 信 賓(支 出〉 | |||||||
保 険 費(支 出) | |||||||
保 健 衛生費(支 出) | |||||||
研 修 費(支 出〉 | |||||||
行 事 費(支 出) | |||||||
修 繕 費(支 出) | |||||||
会 費(支 出) | |||||||
公 租 公 課(支 出) | |||||||
福 利 費 〈支 出) | |||||||
借 入金 利息(支 出) | |||||||
長期 借入金返 支 出 | |||||||
短期借 入金返済支 出 | |||||||
機 器 備 品 支 出 | |||||||
国 書 支 出 | |||||||
土地取得引当特定預金繰入支出 | |||||||
退職給与引当特定預金繰入支出 | |||||||
前期未未払金支払支出 | |||||||
貸 付 金支払 支 出 | |||||||
前 払 金支払 支 出 | |||||||
期 末 未 払 金 | |||||||
次年度繰越支払 資金 | |||||||
硯 物 寄 付 金 | |||||||
土 地 売 却 差 額 | |||||||
有 価 証 券売却差額 | |||||||
有 価 証 券処分差額 | |||||||
機 器 備 品処分差額 | |||||||
国 書 処 分 差 額 | |||||||
減 価 償 却 額 | |||||||
退職給与引当金繰入額 | |||||||
基 本 金 組 入 額 | |||||||
当 年度消費収支差額 | |||||||
収 支 科 目 合 計 |