学校法人会計基準改正Q&A
平成17年12月16日
日本私立学校振興・共済事業団

T 基本金の取崩しについて

Q1 第2号基本金の取崩し
 基準改正前は,第2号基本金の施設整備計画を廃止した場合,第1号基本金へ振替えることも可能であったが,今回の改正によりこのような場合の処理はどうなるのか?
A1 固定資産の取得計画に基づき,第2号基本金の組入れを行う場合には,具体的かつ確実な計画に基づいて実施するべきであり,安易な計画によって実施することは慎まなければならない。
 しかし,計画の見直しにより計画廃止に至った場合には,“諸活動の一部又は全部の廃止”に該当し,当該特定資産及び第2号基本金はその意義を失うことになることから,基本金の取崩対象額として把握される。
 したがって,基準改正前のように第1号基本金への振替処理を行うことなく,第2号基本金の取崩対象額として把握する。
 なお,計画の見直しを行い,計画の縮小又は廃止を決定した場合は,「第2号基本金の組入れに係る計画表」においては,「固定資産の取得計画及び基本金組入計画の決定機関及び決定年月日」の「変更決定の年月日」欄にその決定した日付を,「摘要」欄に計画を変更した旨の記載を行うとともに,「基本金組入計画及びその実行状況」の「摘要欄」に基本金の取崩し対象としたことを記載すべきである。


Q2 第4号基本金の取崩し
 「第4号基本金を部門毎に組入れていた場合,廃止した部門に係る第4号基本金は取崩しの対象額とすることができる。」とあるが,今回の基準の改正により取崩し要件が変更となったのか?
A2 日本公認会計士協会の学校法人会計問答集(Q&A)第16号「基本金に係る実務上の取扱いについて(最終改正平成17年6月13日)」(以下「協会Q&A第16号」という。)の「2−14 第4号基本金の部門別組入れについて」では,「第4号基本金の恒常的資金の組入れは法人全体で計算するのが原則であり,その結果,部門別に120/100を超過したり又は不足することは止むを得ない。ただし,会計単位及び資金が部門別に独立している場合は第4号基本金の計算を部門別に行うこともできよう。」とある。
 したがって,部門別に計算を行っている場合は,廃止した部門の第4号基本金は取崩しの対象となる。このことについては,従前と同じ取り扱いであり,今回の基準改正において変更したものではない。

Q3 基本金繰延額
 平成17年4月1日現在有している基本金の繰延額は,平成18年度予算での購入予定額以外は取崩し対象となるか?数年先の購入予定額はどうなるか?また,段階的に取崩すことは可能か?
A3 平成17年5月13日付け文部科学省高等教育局私学部参事官通知「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について」(以下「参事官通知」という。)T(2)では,「平成17年4月1日現在有している基本金の繰延額は,学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものを除き,平成17年度決算の基本金取崩しの対象とすること。」とある。
 したがって,平成17年4月1日現在有している基本金の繰延額は,平成17年度決算で対象資産を再取得するかどうかを決めなければならず,次年度以降段階的に取崩すことは認められない。
 なお,すでに理事会等で決定された施設整備計画があるなど,取得の予定が確実であれば,取得時まで繰り延べることとなる。

Q4 基本金明細表 
 基本金明細表上の各号の「前期繰越高」の次の表示が「当期組入高」になるのか「当期取崩高」になるのかは,各号の基本金への組入対象額あるいは取崩対象額が集計された結果を受けて決定されるということか?
A4 そのとおりである。参事官通知T(1)では,「基本金の組人額及び取崩額の計算は,第30条第1項各号の基本金毎に,組入れの対象となる金額が取崩しの対象となる金額を超える場合には,その超える金額を基本金の組入額として取り扱うものとし,また,取崩しの対象となる金額が組入れの対象となる金額を超える場合には,その超える金額を基本金の取崩額として取り扱うものとすること。」とある。
 したがって,この諸計算の結果,当期組入高となるのか当期取崩高となるのかが決定されることになる。
 なお,固定資産を取得したために,第2号基本金を第1号基本金に振り替える場合には,この計算に含めない。

Q5 基本金明細表
 基本金を部門別に把握している場合,基本金の組入れ,取崩しを計算した結果,部門毎に組入れあるいは取崩しが計上される。この場合,基本金明細表は,法人全体として作成するので組入れと取崩しの両方が計上されることでよいか?
A5 部門別に把握,計算している場合には,部門毎に各号の基本金を計算するので,基本金明細表の各号基本金では部門毎に組入高と取崩高の両方が記載されることもある。
 なお,合計欄は部門別に記載する様式となっていないため,各号基本金ごとに計算した当期組入高と当期取崩高のそれぞれを合計して記載することとなる。
 このことを具体例で示すと次のとおりである。









U 計算書類の末尾に記載する注記事項について

Q6 重要性の判断
 「重要性があると認められる場合に記載する」注記の項目について,その重要性の判断基準は具体的にはどの程度のものか?
A6 平成17年5月13日付け文部科学省高等教育局私学部長通知「学校法人会計基準の一部改正について」第三留意事項2(1)では,「資産総額若しくは帰属収入や消費支出又は消費収支差額などに照らして重要な影響を与える場合」に記載するものであることとある。
 したがって,「重要性」の判断は,各学校法人に委ねられているが,財政及び経営の状況を正確に判断するために積極的な記載が望ましい。

Q7 重要な会計方針の変更等 
 「会計上の見積りの変更」は,重要な会計方針の変更等に含まれるのか?
A7 日本公認会計士協会の学校法人会計問答集(Q&A)第17号「計算書類の注記事項の記載について(平成17年6月13日)」(以下「協会Q&A第17号」という。)の「Q12(1)C会計方針の変更に類似する事項」では,「以下の事項は,会計処理の対象となっていた事実に係る会計上の見積りの変更,あるいは新たな会計処理の採用等であり,会計方針の変更には該当しない。ア.会計上の見積りの変更,イ.重要性が増したことに伴う本来の会計処理への変更,ウ.新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の採用」とある。
 したがって,「会計上の見積りの変更」は,会計方針の変更等には該当しないので留意されたい。
 なお,「会計上の見積り」とは,「財務諸表に含まれる金額が,将来事象の結果に依存するために確定できない場合又は既に発生している事象に関する情報を適時にあるいは経済的に入手できないために確定できない場合に,会計上の見積りが必要となり,当該金額は概算により計上される」こととなっており,会計上の見積りを要するものには,貸倒引当金や市場性のない有価証券の実質価値などが挙げられる。(日本公認会計士協会監査基準委員会報告書第13号「会計上の見積りの監査」より)

Q8 有価証券の時価情報
 協会Q&A第17号「Q14」では,「時価とは,取引市場が十分に確立している場合は市場価格であり,取引市場が十分に確立されていない場合には市場価格に準ずるものとして合理的に算定された価格をいう。」とあるが,未上場株式の時価の算定はどのようにするのか?
A8 未上場株式については,時価がないものと考えられるため注記の必要はない。
 しかし,学校法人会計基準第27条に定める有価証券の評価換えが必要かどうかを判定する場合に算定される時価は,実質価額すなわち通常一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に従い適正に作成された財務諸表を基礎とした一株あたりの純資産額をいう。

Q9 関連当事者との取引(範囲)
 関連当事者の把握は具体的にはどのように行えばよいか?また,把握は毎年行わなければならないか?
A9 学校法人が関連当事者を把握するための役員及び職員に対する調査表の参考例を示すが,これについては,各学校法人の規模や実態に応じ,適切に処理されたい。
 また,例えば,調査表による記入は役員に限定し,教職員については,学内掲示板・イントラネットなどで周知を徹底し,該当者には申し出てもらうというような方法も考えられる。
 しかし,初めて調査する場合には,学校法人が関連当事者を正確に把握する上でも書面による調査を行うことが望ましい。この場合,初回調査後は変更があった場合のみ,調査表を提出してもらう方法も考えられる。

Q10 関連当事者との取引(範囲)
 「配偶者又は2親等以内の親族」に「養子」,「養父母」は含まれるか?
A10 養子,養父母も戸籍上,2親等以内の親族となるため,関連当事者に該当する。

Q11 関連当事者との取引(関係法人)
 参事官通知U(6)Aアでは,「一方の法人の役員若しくは職員等が,他方の法人の意思決定に関する機関の構成員の過半数を占めていること」とあるが,この「職員等」は具体的に何を指しているのか?
A11 役員若しくは職員等の「等」とは,役員・職員(教育職員及び事務職員)以外の者で,顧問,相談役その他これに類する者で,法人内における地位,職務等からみて実質的に法人の経営に重要な影響を及ぼしていると認められる者が考えられ,評議員などは各学校法人の実態に応じて判断されたい。
 なお,役員若しくは職員については,常勤・非常勤を問わない。

Q12 関連当事者との取引(関係法人)
 参事官通知U(6)Aアでは,「意思決定に関する機関」とあるが,どのような機関か?
A12 「意思決定に関する機関」とは,株主総会,取締役会,理事会その他これらに準ずる機関をいう。

Q13 関連当事者との取引(関係法人)
 参事官通知U(6)Aウでは,「法人の意思決定に関する重要な契約等が存在すること」とあるが,どのような契約が該当するか?また,「契約等」の「等」は,何を意味しているか?
A13 例えば,重要な施設の無償提供,系属校との協定などが法人の意思決定に関する重要な契約と考えられ,「等」は,覚書,念書等が考えられる。

Q14 関連当事者との取引(関係法人)
 提携関係にある学校・系列校(いわゆる姉妹校,グループ校)で,@役員は兼務している者もいるが,過半数は占めていない,A行事,施設利用,単位互換等についての関係はあるが,資金調達関係はない場合は,関連当事者に該当するのか?
A14 参事官通知U(6)Aでは,「関連当事者との取引の注記の対象となる関係法人とは,一定の人的関係,資金関係等を有する法人をいい,具体的には,ア.一方の法人の役員若しくは職員等が,他方の法人の意思決定に関する機関の構成員の過半数を占めていること,イ.法人の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額の過半について融資を行っていること,ウ.法人の意思決定に関する重要な契約等が存在することが該当することo」とある。
 したがって,質問の場合,上記のア又はイに該当しなくても,ウに該当する場合は,関連当事者となる。
 ただし,財務上又は事実上の関係から法人の意思決定に関し重要な影響を及ぼさないことが明らかな場合には対象外となる。

Q15 関連当事者との取引(学校法人の出資による会社)
 学校法人の出資による会社に該当し,かつ,関連当事者にも該当する会社が,当該会計年度中に解散した場合,あるいは出資比率が低くなった場合,学校法人の出資による会社として注記及び関連当事者として注記はどのように取り扱えばよいのか?
A15 学校法人の出資割合が二分の一以上の会社については,「学校法人の出資による会社に係る事項」として注記するため,当該会社が関連当事者であっても「関連当事者との取引」の注記事項としては扱わないこととされているが,学校法人の出資による会社は,学校法人の年度末(3月31日)における出資割合が二分の−以上の場合に記載することとなっているため,質問の場合は,学校法人の出資による会社の注記には該当しない。
 一方,関連当事者との取引の注記に該当するか否かは,個々の取引の開始時点で判定するものとされており,当該会社が会計年度中に関連当事者に該当しなくなった場合には,関連当事者に該当している間の取引について関連当事者との取引として注記しなければならない。

Q16 関連当事者との取引(注記の基準)
 経理規程に基づいて,一定額以上の取引については,3社以上の見積りを取ることとなっている。このような指名競争入札の場合,注記が必要か?
A16 一般競争入札の範囲に該当しない指名競争入札は注記を要する。
 なお,一般競争入札とは,どの者も自由に入札に参加でき,あらかじめ決めた価格(予定価格)以内で,最も低い価格に決定する方法をいう。その際,質の確保の観点から入札条件を設定し,条件に合致しないものは入札の対象外とすることもできる。

Q17 関連当事者との取引(注記の基準)
 宗教法人立または個人立の幼稚園が,学校法人化した場合,従来の設置者が無償で園地を20年以上貸与することを条件に学校法人の認可がおりたが,この場合で,個人立幼稚園の設置者であったものが,学校法人の役員になっていたり,宗教法人の代表役員が学校の理事を兼任していたりする場合,関連当事者との取引はどのように記載するか?
A17 参事官通知U(6)Bでは,「関連当事者との取引が無償の場合又は有償であっても時価に比して著しく低い金額等による場合には,原則として第三者間において通常の取引として行われる場合の金額等によって重要性を判断し,注記すること。」とある。
 したがって,質問の場合,参事官通知(別添2)注記事項記載例〈例1〉7(8) 理事との無償の土地使用を参考に記載されたい。

Q18 関連当事者との取引(注記の基準)
 当年度に取引はないが,過年度の取引による貸付金残高等がある場合,注記の対象になるか?
A18 当年度に返済などの取引がなくても,期末日において残高がある場合には注記の対象となる。

Q19 関連当事者との取引(注記の基準)
 記載を要する取引の判断基準として,協会Q&A第17号の「Q28」に,「役員及びその近親者との取引については100万円,その他の関連当事者との取引は帰属収入の1/100(その額が500万円を超える場合は500万円)」と例示されているが,大規模法人の場合,これでは金額が低すぎるので,例示以外の基準でもよいのか?
A19 学校法人の規模等に応じて,取引金額及び残高からみて重要性が乏しい取引については省略することが考えられる。その重要性については,各学校法人の実態に応じて金額を決定して差し支えない。
 しかし,関連当事者との取引が無償の場合又は有償であっても取引金額が時価に比して著しく低い金額等による場合には,原則として第三者間において通常の取引として行われる場合の金額等によって重要性を判断して注記することとされていることに留意しなければならない。
 なお,例示されているように,他の注記の重要性の基準に比べて金額が小さいことは,企業会計や公益法人会計基準も同様である。

Q20 記載方法
 「重要な会計方針」と「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」をまとめて記載できないか?(例:純額表示の補助活動収支)
A20 学校法人会計基準第6号様式(第35条関係)の注記において,「重要な会計方針」と「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」は別項目となっており,別々に記載しなければならない。

Q21 その他考えられる注記項目
 協会Q&A第17号では,「Q30」に「その他考えられる注記項目」とあるが,これはどのような判断により注記するのか?
A21 協会Q&A第17号の「Q30」では,「その他考えられる注記項目」として,以下の項目が例示されている。
(1)その他の重要な会計方針
 @ 減価償却の方法等について
 A 減価償却資産の計上基準について
(2)その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項
 @ 退職年金制度について
 A 継続企業の前提について
 上記の項目の注記については,消費収支計算または消費収支差額に影響を及ぼす場合等,各学校法人の判断により注記されたい。