学校法人会計問答集(Q&A)第13号  
                   平成4年11月11日  
               改正 平成17年6月13日

有価証券の評価について                 日本公認会計士協会
 
 以下は、平成4年11月11日付き第13号である。平成17年改正版は、後記する。
質問1
・ 学校法人が有価証券等によって資産運用することを規制する法令等はない。
・ ただし、公益法人たる立場から資産の運用にあたっては教育研究活動に支障を来さないように配慮しなければなりません。
 
 
 
質問2 有価証券の範囲
・ 有価証券の範囲については、基準では一切触れていない。
・ 一般の慣行では証券取引法第2条に定める有価証券が考えられています。
 
 
 
質問3
・ 基準第27条の有価証券の評価換えにあったっての「著しく低くなった場合」とは、実務上の判断では、時価が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ったときと理解しています。
・ 時価とは、
  市場性のある有価証券……決算日現在の最終価額
  市場性のない有価証券……実質価額
 
 
 
質問4
・ 基準第27条の「…その回復が可能と認められるとき」とは、
 有価証券の時価が取得価額まで回復する見込がない場合、又は回復の見込が疑わしい場合です。
・何時までに回復が認められるかという期間については、一時的な保有か、長期的な保有かで異なります。
 
 
 
質問5
・ 引当特定資産に含まれる有価証券にも、基準第27条は適用されます。
 
 
 
質問6
・ 有価証券類似の出資証券、抵当証券等にも、基準第27条は適用すべきです。
 
 
 
 
質問7
・ 外貨建て有価証券の評価にあたっては、外貨ベースで行います。
・ 外貨評価額と邦貨評価額の差額は、為替レートの問題として理解すべきです。
 
 
 
質問8
・ 基準第27条により評価替えをした際の評価減額は、大科目「資産処分差額」小科目「有価証券評価差額」で表示します。
・ 引当特定資産に含まれる有価証券の評価減額は、一般の有価証券の評価減額と区分して表示すべきです。
 
 
 
質問9
・ 基本金対象引当資産に含まれている有価証券の評価減額については、基本的には追加組入が必要である。
・ 第2号基本金対象引当特定資産
   基本通り追加組入をしなければなりません。
   そうしないと基本金設定目的の1号資産が取得できません。
・ 第3号基本金対象引当特定資産
   なるべく追加組入をすべきですが、
   目的の事業計画との関係から、修正減額することも認められます。
 
 
 
改正 平成17年6月13日
 
質問1
・ 学校法人が有価証券等によって資産運用することを規制する法令等はない。
・ ただし、公益法人たる立場から資産の運用にあたっては教育研究活動に支障を来さないように配慮しなければなりません。
 
 
 
質問2 有価証券の範囲
・ 有価証券の範囲については、基準では一切触れていない。
・ 一般の慣行では証券取引法第2条に定める有価証券が考えられています。
・ また、金融商品会計に関する実務指針で定めるように、内国法人の発行する譲渡性預金証書も有価証券に準じた処理を行うことが適当である。
 
 
 
質問3
・ 金融商品会計基準においては、有価証券をその保有目的等の観点からそれぞれの区分に応じて、貸借対照表価額及び評価額等の会計上の取扱いが異なっているが、学校法人会計においては保有目的によって評価方法に差異がない。
・ 基準第25条により、その保有目的を問わず、保有するすべての有価証券を取得原価で評価することになる。
・ ただし、基準第27条により、取得価額と比較してその時価が著しく低くなった場合には、その回復が可能と認められるときを除き、時価によって評価する。
 
 
 
質問4
・ 債券を債券金額と異なる金額で取得した場合の債券の貸借対照表価額は、取得原価又は償却原価法による価額となる。
・ 償却原価法とは、債券を債券金額より高い又は低い価額で取得した場合において、当該差額に相当する金額を償還期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する方法をいい、債券金額と取得価額の差額は、一般的には金利調整差額であると認められることから、取得原価の枠内で認められている。なお、この場合には、当該加減額を受取利息(資産運用収入)に含めて処理することとなろう。
 
 
 
質問5
・ 有価証券の売買契約については、有価証券の発生及び消滅を受渡日に認識する受渡基準と、約定日に認識する約定日基準がある。
・ 継続適用を条件としていずれも認められる。
・ ただし、有価証券に係る時価変動リスクや信用リスクなどは実質的に約定日に売手から買手に移転しているので、約定日に有価証券の発生及び消滅を認識する方が取引の実態に合っている。
 
 
 
質問6
・ 有価証券の取得価額は、取得に当たって支払った対価の支払時の時価に手数料その他の付随費用を加算したものをいう。
・ 一方、有価証券を時価評価する場合、その時価には取得又は売却に要する付随費用を含めない。
 
 
 
 
質問7
・ 基準第27条の有価証券の評価換えにあったっての「著しく低くなった場合」とは、実務上の判断では、時価が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ったときと理解している。
・ ただし、たとえ時価の下落率が50%未満であっても、それが「著しく低くなった場合」に該当するかどうかは、各学校法人の判断で合理的な基準を設けて判定することができる。
 
 
 
質問8
・ 基準第27条の取得価額と比較する「時価」とは、金融商品会計基準に定める内容と同様に公正な評価額を指し、取引を実行するために必要な知識をもつ自発的な独立第三者の当事者が取引を行うと想定した場合の取引価額をいう。
・ 有価証券に付すべき時価には、当該有価証券が市場で取引され、そこで成立している価格がある場合の「市場価格に基づく価額」と、当該有価証券に市場価格がない場合の「合理的に算定された価額」とがある。
・ 株式に付す時価は市場価格とし、市場において公表されている取引価格の終値を優先適用し、終値がなければ気配値を適用する。
・ 債券又は証券投資信託に付す時価は市場価格とし、市場価格がない場合には、市場価格に準ずるものとして合理的に算定された価額が得られればその価額とする。
 
 
 
質問9
・ 有価証券の時価の「回復が可能と認められるとき」とは、株式の場合、時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得価額にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。
・ 株式の時価が過去2年間にわたり著しく下落した状態にある場合や、株式の発行会社が債務超過の状態にある場合又は2期連続で損失を計上しており、翌期もそのように予想される場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められない。
・ 債券は、格付けの著しい低下があった場合や、債券の発行会社が債務超過や連続して赤字決算の状態にある場合など、信用リスクの増大に起因して時価が著しく下落した場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められない。
 
 
 
質問10
・ 引当特定資産に含まれる有価証券も、その評価については一般の有価証券と同様、基準第27条が適用される。
 
 
 
質問11
・ 出資証券は金融資産であり、その実態は市場価格のない株式に類似しており、取得価額をもって貸借対照表価額とされているが、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、当年度の評価差額として処理しなければならない。
・ 抵当証券も金融商品であるが、証券としての流通性が低いために有価証券に準じた取扱いは行わない。したがって、時価のない金融商品として原則として取得価額で評価する。
 
 
 
質問12
・ 外貨建有価証券の評価をする場合については、基準には、外貨建資産の換算レートについて規定していない。
・ 取得価額と時価との比較は外貨ベースで行い、評価額は決算時の為替相場により円換算した額による。
 
 
 
質問13
・ 基準第27条により評価替えをした際の評価減額は、大科目「資産処分差額」小科目「有価証券評価差額」で表示する。
・ 引当特定資産に含まれる有価証券の評価減額は、一般の有価証券の評価減額と区分して表示すべきである。
 
 
 
質問14
・ 基本金対象引当特定資産に含まれている有価証券を評価換えした場合であっても直ちに他の資産で埋め合わせることにはならない。
・ 基本金を維持する場合には他の資産で埋め合わせ、計画を見直して基本金を維持しない場合には埋め合わせる必要はない。