私立学校法の改正(平成16年5月12日法律第42号)により、監事の監査報告書は、次の例のようになるものと思考します。 第37条の新・旧等を検討したことによる案の作成です。 いろいろ検討しますと、これが絶対という文例はないようです。 別項で問題点の検討を行いますので、自分でしっくりいくものを作成していただきたいと思います。 |
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| 監事の監査報告書(2) 【宛先】 平成17年3月27日 公認会計士 山口善久 1 従来の宛先 旧私立学校法では、監事の職務としてその第37条第4項で「学校法人の財産の状況又は理事の業務執行状況について、理事に意見を述べること。」と定めるのみで、監査報告書については別段の定めをおいていない。しかし、この規定を受けて監事は監査報告書を作成するのが通例であり、その際の監査報告書の宛先は「学校法人○○学園 理事長 ○○○○ 殿」が使われていた。 2 私立学校法の改正 平成16年に私立学校法が改正されて、平成17年4月1日から適用され、監事の職務が下記のように定められた。 |
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| 改正私立学校法第37条(役員の職務) 3 監事の職務は、次のとおりとする。 一 学校法人の業務を監査すること。 二 学校法人の財産の状況を監査すること。 三 学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作 成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び評議員会に提出すること。 |
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| 本条にみるように、従来は定めがなかった監事の監査報告書についてその作成が明らかにされ、さらにそれを理事会及び評議員会に提出することとされた。 3 監査報告書の宛先 上記のように作成並びに提出についての定めが法に明らかにされたが、その様式・文例については法令及び文部科学省の通知等でも明らかにされていないので、いくつかの様式・文例が識者の案として発表されている。 それによると、監査報告書の宛先の一つは従来通りの「学校法人○○学園 理事長 ○○○○ 殿」であり、今一つは「学校法人○○学園 理事会 御中」である。 4 「学校法人○○学園 理事会 御中」について 理事会宛ての監査報告書は、改正私立学校法が「理事会」(及び評議員会)に監査報告書を提出することとしていることからとも考えられるが、真は私立学校振興助成法に基づく公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先が日本公認会計士協会の定め(平成17年2月15日学校法人委員会報告第36号「私立学校振興助成法第14条第3項の規定に基づく監査の取扱い」)で、宛先を理事会にするように改められたからと推量する。 この委員会報告の改訂は、宛先について「私学法の一部を改正する法律(平成16年法律第42号)において、理事会が学校法人の必置の機関として定められた。この理事会が学校法人の業務を決し、理事の職務を監督する(私学法第36条)と定められていることから、原則として理事会宛とする」(委員会報告第36号U2.(3)宛先)としているが、その元は企業監査における公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先の改訂にあるものと思料する。 |
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| 確かに私立学校法第36条は、理事会について上記のように定めている。が、それに続いて第37条で「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」とも定めている。第36条が宛先を「理事会」とする根拠であるならば、この第37条はどのように読むのであろうか。 | ||||
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改正私立学校法第36条(理事会) 学校法人に理事をもって組織する理事会を置く。 2 理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。 3 理事会は理事長が招集する。… 略 … 4 理事会に議長を置き、理事長をもって充てる。 5・6 … 略 … 改正私立学校法第37条(役員の職務) 理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。 2 … 略 … |
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| 企業監査における公認会計士又は監査法人による監査報告書の作成基準は、平成15年1月31日付け日本公認会計士協会監査委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針(中間報告)」にある。では、この報告が如何に検討されて纏められたかをみてみたい。その検討は、この報告書の公表に先立つ「公開草案」(平成14年7月29日)の説明にある。 公開草案説明 |
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| 「3) 宛 先 | ||||
| 法定監査においては、監査報告書に宛先を記載することの要否及び記載する場合に誰を宛先とするかについて特段の明文規定はないが、報告第64 号及び第67 号の監査報告書文例は「取締役社長」を宛先としていた。 しかし、監査報告書は、監査の結果として、財務諸表に対する監査人の意見を表明する手段であるとともに、監査人が自己の意見に関する責任を正式に認める手段であるという本質に鑑みると、その宛先を「取締役社長」という個人名とすることが妥当か否かの問題があり、「株主各位及び取締役会」、「株主各位」、「取締役会」又は「監査役会」のように会社の機関宛てとすることが考えられる。 国際監査基準(ISA)は、契約内容及び各国の法令に従うこととしているものの、通常、“Shareholders”あるいは“Board of directors”が宛先となるとしている。我が国においては、「株主各位」又は「取締役会」がこれに該当する。 証券取引法に基づく監査人の選任は、通常、取締役会で行われ、会計監査人は、株主総会において選任されるため、証券取引法監査及び商法監査それぞれについて、宛先を定めることも考えられるが、両監査人には同一の公認会計士あるいは監査法人が選任されるのが通例であることから、監査報告書の宛先も同一とすることが合理的であり、かつ、我が国におけるコーポレート・ガバナンスの観点からは、「取締役会」が望ましいと考えられる。 したがって、監査報告書の宛先を「取締役会」とする。ただし、商法特例法第13条第1項の規定により監査役会に提出する監査報告書については、監査役が会計監査人の監査報告書の調査を行うという提出目的から「監査役会」を宛先とすることも適当と考えられる。」 |
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| この公開草案説明にあるように「取締役社長」が個人名であるか否か、又は個人名とは何かについては疑問があるが、委員会報告は公認会計士又は監査法人による監査報告書の宛先を「取締役会」とした。 しかし、商法特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)は公認会計士又は監査法人の監査報告書の提出先を「監査役会及び取締役」としていることから、これを「取締役会」とすることには問題がないのであろうか。この点を懸念してか、先の公開草案は監査役会に提出する監査報告書については「監査役会」を宛先にすることも適当と考えられるとしている。 以上検討してきたが、種々説明を付けて「取締役社長」から「取締役会」に変更させたにしては雑な説明のように思えてならない。要は、国際基準に合わせたということに過ぎないのではないか。 このような事情を反映しているのか否かは判然としないが、委員会報告の公表にあたっての担当常務理事の「実務指針の公表について」では「本報告は、改訂監査基準に対応して、監査報告書の様式を国際的基準に準拠したものに大幅に改めたものであります。また、国際的な慣行に従い、監査報告書の表題を「独立監査人の監査報告書」とし、宛先を「取締役会」とする等の改訂も行われていますが、これらは原則であり、従来どおり「監査報告書」や「代表取締役宛」とすることもできます。」としている。「代表取締役」でもいいですよといっているのである。日本の慣行からはこの方が分かりよいとは思うが、この委員会報告以来は公認会計士又は監査法人の企業監査における監査報告書の宛先は「取締役会」が多数使用されているようである。 |
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商法第261条 会社は取締役会の決議をもって会社を代表すべき取締役を定ることを要す 学校法人委員会報告第36号の「原則」とは 日本公認会計士協会の改正学校法人委員会報告第36号は、公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先を「原則として理事会宛とする。」としている。ここでの原則とは如何様な意味かは明らかでないが、上記の企業監査に係る委員会報告第75号公表に当たっての担当常務理事の「実務指針の公表について」の扱いと同様とすると、学校法人委員会報告第36号の「理事会宛」は「理事長宛」でもよいですよといっていることになるが、如何であろうか。 |
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| 今一つ。「取締役会」を宛先とされた監査報告書を、公認会計士又は監査法人は誰に提出するのであろうか。「取締役会」ですと答えがあるかもしれないが、取締役会は手も足もないのであるから受け取れないのではないかとの疑問がある。 5 商法における監査役の監査報告書 商法第281条の3は、監査役の監査報告書を「取締役」に提出するとしている。 |
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| 商法第281条ノ3 監査役は前条第1項の規定に依り第281条第1項各号に掲ぐるものを受領したる日より4週間内に監査報告書を取締役に提出することを要す |
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| この商法における監査役の監査報告書の提出先の定めは、商法特例法における公認会計士又は監査法人の監査報告書の提出先の定めと同様で「取締役」である。とすると、監査役の監査報告書の宛先は、現在時において公認会計士又は監査法人の監査報告書と同様に「取締役会」になっているのであろうか。答えは否である。 この点についての日本監査役協会の指針をみると、それは監査報告書のひな型に明らかである。ひな型は、大会社・中会社・小会社の例が示されているが、いずれも宛先がない。しかし、この宛先のない監査報告書に送り状を付けて、この送り状の宛先を「代表取締役社長」としている。監査報告書に宛先を記さなかったが、代表取締役社長に監査報告書を提出することを想定しているのであろう。 |
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| 6 私立学校法における監事の監査報告書 監事の監査報告書は、「理事会」及び「評議員会」に提出することとされている(私立学校法第37条第3項3号)。 この定めからすれば、監査報告書の宛先は「理事会」及び「評議員会」が素直かもしれない。しかし、この宛先では企業における公認会計士又は監査法人の監査報告書について検討した項において触れたように誰が受け取るのであろうか。 |
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| 宛先を「理事会」や「評議員会」とせず、どちらも「理事会」とする考え方もあるようである。 その根拠は? 多分、上記でみたように企業の監査における公認会計士又は監査法人の監査報告書では監査委員会報告第75号で証券取引法に基づく監査も商法に基づく監査も宛先を同一にすることが望ましいとされたことからと思う。そして、この委員会報告はその理由を「証券取引法に基づく監査人の選任は、通常、取締役会で行われ、会計監査人は、株主総会において選任されるため、証券取引法監査及び商法監査それぞれについて、宛先を定めることも考えられるが、両監査人には同一の公認会計士あるいは監査法人が選任されるのが通例であることから、監査報告書の宛先も同一とすることが合理的であり、かつ、我が国におけるコーポレート・ガバナンスの観点からは、「取締役会」が望ましいと考えられる。」と述べているがよく理解できない。 また、この考え方を私立学校法のおける監事監査に適用させる考え方の合理性も見いだすことが出来ない。 |
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| 一つの解決としては、監事は理事会への出席が義務となった(改正私立学校法第37条第3項第6号)のであるから、宛先を「理事会」とした監査報告書を理事会に自ら持参して理事会で「どなたにお渡ししたらよいでしょうか」と問うて、理事会で指名されたものに提出することが考えられる。 | |||||
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改正私立学校法第37条第3項6号 学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。 |
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| さらに日本的な慣行によれば、誰か代表者を定めておいてそのものが受け取ることが考えられる。 学校法人○○学園理事会 代表 ○○○○ 殿 (評議員会に提出の監査報告書とは別の監査報告書) 学校法人○○学園評議員会 代表 ○○○○ 殿 (理事会に提出の監査報告書とは別の監査報告書) 前者の方法は、理事会についてはその通りといえるが、評議員会については当て嵌めることができない。監事の評議員会への出席義務の定めが改正私立学校法にないからである。 |
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| さらに、この方法だと評議員会のみならず理事会でも招集通知発送時点に監事の監査報告書を受領していないので会議の招集にあたっての送付資料に監事の監査報告書を入れることが出来ない。よって、この方法を採用することには問題がある。 | |||||
| とすれば、後者の方法がここでの結論となろうが、これにおいても問題がないわけではない。 その一つは、監事の監査報告書が「理事会」と「評議員会」の両者に別々に提出されると、その同一性を確認するために両者の監査報告書を常に一緒に読まなければならないことになる。これを回避するための解決は、宛先併記の監査報告書にすることである。 学校法人○○学園理事会 代表 ○○○○ 殿 (評議員会と併記…評議員会宛の報告書と同一) 学校法人○○学園評議員会 代表 ○○○○ 殿 (評議員会と併記…理事会宛の報告書と同一) 二つは、監査報告書の受取代表者を前もって決めておかなければならないことである。ここまでするのであれば、「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」(第37条)としているのであるから、理事長に提出して何か問題があるのだろうか。 また、理事会や評議員会を招集する者は理事長である(私立学校法第36条第3項・第41条第3項)ことから、理事長に監事の監査報告書(正本とはいわないが、謄本か写しでも)が届いていないと、会議の招集にあたっての送付参考資料に監事の監査報告書が入れられないことからしても、理事長が宛先であることには妥当性があるものと思料する。 したがって、監事の監査報告書は従来通りの「理事長」宛でよいと考えたい。 学校法人○○学園 理事長 ○○○○ 殿 そして、これは決して単なる個人宛ではなく、法人の代表者に宛てたものと思考する。学校法人の代表者である理事長に監査報告書を渡し、理事会及び評議員会に提出してくださいと依頼したものと考えるのだが如何であろう。 |
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| ※ 評議員会議長を宛先とすることについての検討 上記は、理事会及び評議員会ともに宛先を「理事長」とした。が、理事会についてはそれで「了」としても評議員会については「?」という意見もあろう。では、評議員会において理事会における理事長のような職の者がいるか。 私立学校法第41条第4項は、「評議員会に議長を置く。」としている。議長とは「合議体を代表し、その活動を主宰する職務を担当するもの」(有斐閣・新法律学辞典)とされているので、評議員会の代表者として適格性があるものと考える。が、問題は私立学校法では、この評議員会議長は常置の職であるか否かである。同条第3項によると「評議員会は、理事長が招集する。」とされていることから常置の職務でないものと考える。常置の職でないのであれば、監事の監査報告書の提出時に評議員会の議長がいないのであるから、評議員会議長を宛先にすることは難しいこととなる。 |
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| (評議員会) 第41条 学校法人に、評議員会を置く。 2 評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて、組織する。 3 評議員会は、理事長が招集する。 4 評議員会に、議長を置く。 5 理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。 6 評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。 7 評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 8 前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。 |
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| 追:究極(?)の解決策 | |||||
| 監査報告書の宛先は下記のようにして、それに理事長宛の送り状を添え、理事長に理事会及び評議員会へ提出を依頼することが考えられる。が、余りにも形式的であり、やはり、理事長宛が最良といえるかもしれない。 学校法人○○学園 理 事 会 御中 評議員会 御中 |
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| 監事の監査報告書(3) 【監査対象とした計算書類の範囲記載】 平成17年3月28日 公認会計士 山口善久 1 委員会報告と告示 監査報告書に、監査対象とした計算書類の範囲を記載する場合にはどのような記載とするのだろうか。 私たちがよく目にする監査報告書としては、私立学校振興助成法に基づく公認会計士又は監査法人の監査報告書がある。それにおける計算書類の範囲の記載は次のようである。 「 平成○○年度(平成○○年4月1日から平成○○年3月1日まで)の計算書類、すなわち、 資金収支計算書(人件費支出内訳表を含む。)、消費収支計算書及び貸借対照表(固定資 産明細表、借入金明細表及び基本金明細表を含む。) 」 これは、日本公認会計士協会の学校法人委員会報告第36号が定めたものであるが、文部科学省が監査対象と定めた計算書類の定めとはその表現に違いがある。 文部科学省の定めは、昭和51年7月13日付け 文部省告示第135号にあり、その記載は次のようである。 「 財務計算に関する書類(資金収支内訳表及び消費収支内訳表を除く。)」 |
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なお、上記の「財務計算に関する書類」は、昭和51年7月28日付け文管振第215号通知で「計算書類」と呼び変えられているので、以下「計算書類」ともいう。 | |||
| 告示は、資金収支内訳表及び消費収支内訳表を除いた財務計算に関する書類を監査対象とするとしているが、日本公認会計士協会の委員会報告は、監査対象計算書類は同一としながらも除外計算書類を記載するのではなく監査対象計算書類を直接明示している。 2 監査対象計算書類の範囲 上記を受けてであろうか公認会計士が提案する監事の監査報告書の文例には、監査対象計算書類を列挙し、また、監査対象計算書類から資金収支内訳表と消費収支内訳表を除いたものがある。 資金収支内訳表と消費収支内訳表を除くことに係る監査対象範囲の両者の表現の違いは別にして、確かに私立学校振興助成法による公認会計士又は監査法人による監査範囲計算書類は上記1のとおりであり、その監査対象範囲から資金収支内訳表と消費収支内訳表を除外している。しかし、監事監査の根拠は私立学校法にあり、これによる監事の監査対象計算書類に除外計算書類があるのだろうか。 私立学校法第47条第1項は作成を義務づける書類を定めており、同条第2項はそれらを閲覧の対象としている。そして、文部科学省は、学校法人会計基準に基づき計算書類を作成している学校法人の場合、この閲覧対象書類のうちの計算書類については、学校法人会計基準で作成する計算書類を私立学校法で作成を義務づけている計算書類として扱うことを認めるが、閲覧対象としてはそれらの計算書類の一部である資金収支内訳表と消費収支内訳表を閲覧対象計算書類に含めなくともよいとしている(H16.7.23「16文科高第304号」)。 では今一度問うが、これらの取扱いと同様に私立学校法第37条に基づき監査する監事の監査範囲からこれらの内訳表を除いてよいのであろうか。今検討してきた点は外部監査に関しての定めや閲覧計算書類に関する取扱いであり、内部監査について同様の扱いをする必然性はない。さらに、所轄庁たる文部科学省や都道府県に提出している計算書類を監事が監査しないという考え方が導かれることは、法の趣旨からして決してあるべきではない。したがって、学校法人が作成する計算書類はすべて監事の監査対象書類であるとすべきであり、外部監査や閲覧・公表計算書類の限定とは別に解すべきである。 |
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私立学校法第47条(財産目録等の備付け及び閲覧) 学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。 2 学校法人は、前項の書類及び第37条第3項第3号の監査報告書(第66条第4号において「財産目録等」という。)を各事務所に備えて置き、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。 |
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3 附属表の記載 以上を受けて監査対象計算書類を学校法人が作成するすべての計算書類とした場合、監事の監査報告書における監査範囲記載で主要計算書類のほか内訳表や明細表である附属表までをすべて列挙しなければならないのか。 多分内訳表や明細表を含めてすべて列挙するという考えは、上記の公認会計士又は監査法人の監査報告書の記載「平成○○年度(平成○○年4月1日から平成○○年3月1日まで)の計算書類、すなわち、 資金収支計算書(人件費支出内訳表を含む。)、消費収支計算書及び貸借対照表(固定資産明細表、借入金明細表及び基本金明細表を含む。) 」や企業における公認会計士又は監査法人の監査報告書に「○○株式会社の平成×年×月×日から平成×年×月×日までの第×期営業年度の計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、営業報告書(会計に関する部分に限る。)及び利益処分案並びに附属明細書(会計に関する部分に限る。)について監査を行った。」で、附属表もその監査対象として記載されているからと思われる。 しかし、私立学校振興助成法の監査で内訳表や明細表が監査対象として明記されているのは学校法人会計基準で定められている内訳表や明細表のうち一部が監査対象から除かれているからであり、また、企業に係る監査で附属明細書が監査対象として明記されるのは、商法の定めを見れば明らかなように附属明細書は貸借対照表や損益計算書といった計算書類との関連はあるがそれらの計算書類とは異なった独立の書類として位置付けられ作成されているからである。これに対し、学校法人会計基準に基づいて作成される計算書類は、学校法人会計基準第4条の定めからして分かるように内訳表や明細表の附属表はすべて本体の計算書類に含まれているものであり、商法の定めのように別個の計算書類として位置づけられてはいない。 したがって、監事の監査報告書では本体計算書類を監査対象として記載すれば、それだけで附属表は監査対象計算書類として含められているものと思料する。ただし、これは全ての計算書類の列挙記載を否定するものではないことは付言しておきたい。 |
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学校法人会計基準第4条 学校法人が作成しなければならない計算書類は、次に掲げるものとする。 一 資金収支計算書及びこれに附属する次に掲げる内訳表 イ 資金収支内訳表 ロ 人件費支出内訳表 二 消費収支計算書及びこれに附属する消費収支内訳表 三 貸借対照表及びこれに附属する次に掲げる明細表 イ 固定資産明細表 ロ 借入金明細表 ハ 基本金明細表 |
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| 商法第281条 取締役は毎決算期に左に掲ぐるもの及其の附属明細書を作り取締役会の承認を受くることを要す 一 貸借対照表 二 損益計算書 三 営業報告書 四 利益の処分又は損失の処理に関する議案 |
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| 4 収支計算書と資金収支計算書・消費収支計算書 上記3の検討は、私立学校法第47条では「財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書」を作成する書類としているのであるから、監事の監査対象とする書類の範囲も同一であるとする前提をとりながら、その監査報告書における監査範囲限定を「財産目録、貸借対照表、資金収支計算書、消費収支計算書及び事業報告書」と置き換えてなされている。 |
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| 収支計算書の資金収支計算書及び消費収支計算書への置き換えそのものは、平成16年7月23日文部科学省私学部長通知「16文科高第304号」により「収支計算書は、基本的に資金収支計算書及び消費収支計算書がこれに該当するものであること。」とあること、そして、この通知が財務情報の公開に関してのものであっても、これを学校法人の作成書類に関する取扱いとしても何らの問題はない。 | ||||
| では、監事の監査報告書は、監査範囲限定に関して「……資金収支計算書、消費収支計算書……」と記さなければならないのであろうか。計算書類とその監査報告書が袋綴じされる公認会計士又は監査法人における監査のような場合には監査報告書に記されている計算書類の名称と添付されている計算書類の名称が同一の方が望ましいといえようが、監事の監査報告書は私立学校法第47条の定めによる監査における監査報告書であり、かつ、そこではその書類を具体的に指定しているわけでもなく、また、その監査報告書は監査対象の財務書類と袋綴じをされるものでもないので、「……収支計算書……」の記載でよいものと思料する。 | ||||
| 私立学校振興助成法第14条 | ||||
| 第4条第1項又は第9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人は、文部科学大臣の定める基準に従い、会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない。 2 前項に規定する学校法人は、同項の書類のほか、収支予算書を所轄庁に届け出なければならない。 3 前項の場合においては、第1項の書類については、所轄庁の指定する事項に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付しなければならない。ただし、補助金の額が寡少であつて、所轄庁の許可を受けたときは、この限りでない。 |
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