預かり保育等の消費税法上の取り扱いについて
                        平成15年9月12日
                         公認会計士 山 口 善 久
 すでにご承知のように平成16年4月開始事業年度より消費税法が改正され、免税事業者や簡易課税適用事業者の判定基準である基準期間の課税売上高が、それぞれ1000万円、5000万円に引き下げられます。
 この引き下げは、幼稚園の経営にとって大きな影響を及ぼす可能性があり、近年、私立幼稚園で実施が見受けられるようになった事業についての課税・非課税の問い合わせが全日幼事務局に寄せられるようになりました。
 このようなことを背景に、全日私幼連の経営研究委員会からの依頼を受けて、平成15年7月18日、全日私幼連の青木事務局長と共に国税庁課税部消費税室にお伺いし、預かり保育等の消費税法上の取り扱いについて相談して参りました。その後、国税庁で検討された後、平成15年9月1日に次のような回答を受けました。
 今後の私立幼稚園の経営に資するため、次に要点をご報告いたします。
1 預かり保育
 「預かり保育」は、以前から地域の実情に応じて個々の幼稚園の判断で実施されていたものですが、平成12年から幼稚園教育要領に初めて位置付けられました。
 幼稚園教育要領では「預かり保育」を「地域の実態や保護者の要請により、教育課程にかかる教育時間終了後に希望するものを対象に行う教育活動」であるとし、さらに「預かり保育」の実施について「適切な指導体制を整えるとともに、第1章に示す幼稚園教育の基本及び目標を踏まえ、また、教育課程に基づく活動との関連、幼児の心身の負担、家庭との緊密な連携などに配慮」するとしています。
 このようなことからして、現在、幼稚園が実施している「預かり保育」は消費税法別表第1に規定する教育に係る役務の提供に該当するので、消費税法上“非課税”の役務の提供である旨の回答を受けました。
 これは、平成14年6月文部科学省「『預かり保育』の参考資料」にありますように教育課程にかかる教育時間終了後に「当該幼稚園に在園する幼児」のうち希望するものを対象に行う預かり保育に対しての回答ですので、各幼稚園においては、この点を充分理解し、預かり保育が非課税になるものかどうかご留意願います。
 
2 満3歳児入園
 満3歳児入園の教育は、学校教育法第80条により正規の教育課程に位置付けられるものであるので、国税庁に確認するまでもなく消費税法上“非課税”の役務の提供であろう。しかし、この正規の教育課程における位置付けに係る見解も、私幼時報の平成11年11月号に掲載されている平成11年10月8日、宮崎市で行われた当時の小松親次郎文部省幼稚園課長の講演で従来からの考え方が明確になったという経緯もあることから、消費税の現場での取り扱いで或いは嘗て異なった取り扱いがあった可能性もあるため、このような最近の動向も踏まえての消費税法上の取り扱いを明らかにしておくことは幼稚園にとって充分意味あることと考え、相談しました。
 これに対して、満3歳児の教育は“非課税”の役務の提供である旨の回答を受けました。
 
3 認可保育所
 幼稚園が経営する保育所は、児童福祉法第7条に定められた保育所であり、よって、消費税法上、別表第1に定める社会福祉法第2条(定義)に規定する社会福祉事業そのものである。したがって、幼稚園が経営する認可保育所における事業は、“非課税”の役務の提供であるとの問い合わせに対しては、私立幼稚園が経営する保育所が児童福祉法第7条に定められたいわゆる認可保育所であれば、そこで行われる事業は“非課税”の役務の提供であるとの回答を受けました。
 したがって、無認可の保育所等は、この非課税の範疇に入りませんのでご注意願います。
 
4 給食事業
 給食事業に対しては、各幼稚園から法人税においては非課税であるから、消費税においても同様にというお話を多数いただきましたが、その都度、法人税と消費税とではその考え方が違うので、同一取り扱いは難しいことをお話ししてきました。
 再度、確認のためお伺いしたところ、やはり給食事業については“課税”との回答を受けました。
 なお、簡易課税制度を利用する場合は、第4種事業(例えば、飲食店、金融・保険業等)となりますのでご留意願います。
 
5 通園バス事業
 通園バス事業についても給食事業同様の問い合わせが各幼稚園からあり、やはりその都度、給食事業同様のお話をしてきました。今回確認の回答も“課税”でした。
 したがって、法人税は非課税ですが消費税は課税ですので、税務上の取り扱いにつきましては充分の注意を願います。
 なお、簡易課税制度利用の場合は、第5種事業(例えば、不動産業、運輸・通信業等)となります。