2000.03.15
損益計算書の機能
 最少費用の最大効果を計るために損益計算書を作成するということが最近よ
く言われる。しかし、損益計算書は最少費用の最大効果を計るための機能を持
っているのであろうか。
 論者は、損益計算書は収益と費用の対応表で、収益と費用の差額を利益(ま
たは損失)と呼び、当該差額に最少費用の最大効果の判定機能を持たせている
という。
 ここで、費用とは会計が任意の一期間を会計期間として区切っていることか
ら、当該期間において事業(当該組織の活動)を行うために費やした(と考えら
れる)価値をいい、収益とはその価値(の費消)によって獲得された新たな価値
をいう。
  ※ そして、貸借対照表は、この価値の費消と獲得計算からはずされた価
  値を集合させた表である。したがって、ここに表示されている資産と呼ば
  れる価値は、損益計算から除外された価値にすぎず、決してその時点にお
  ける対外的に通用する価値額を表しているわけではない。
ここで橋を造り、それを社会に提供する事業を想定してみよう。企業における
損益計算は、橋の造成費をコスト(これを会計は費用と呼び、さらにここでは
造成費以外の他のコストはないものとする)とし、その使用によって獲得した
使用料(これを収益と呼ぶ)とを対応させることによって行われる。そして、こ
の損益計算においては、収益と費用との差額の最大化を目指すことに、その有
用性を見出すことになる。しかし、ここでの計算は、決して最少費用の最大効
果の達成度を測定したのではなく、別々に測定された収益と費用を対応させて
その結果としての差額を表示するにすぎず、差額の最大化を目指すことによ
って最少費用の最大効果の測定を代替させているにすぎない。
 したがって、損益計算書は最少費用による最大効果を測定する機能を持つの
でなく、費消した価値と獲得した価値との差額計算をしているのみであって、
これが企業活動の結果を明らかにする手段として用いられているのにすぎない
のである。
 橋の損益計算は、企業においては上記のように考察されるが、この橋を利用
するために直接的な使用料を取らない非営利法人や公共事業体ではどうであろ
うか。
 料金を取らないのであるから費用に対応する収益がない。よって、収益と費
用の対応による最少費用の最大効果の測定はいうまでもなく不可能といわざる
を得ないであろう。
 にもかかわらず、損益計算書をこのような非営利法人や公共企業体に導入す
るとすれば、その損益計算書は何を表すのか。
組織体における任意の一期間における費消されたとされる価値(この価値の測
定には曖昧さがあることは現在では常識)とその会計期間において獲得された
価値(この価値と費消された価値との間には直接的な結びつきはないので、勿
論その対応関係はない。)との対応計算表が損益計算書であり、その結果はそ
の会計期間における二つの価値の差額を表すのみである。収益費用対応の考え
方が薄い、若しくはないのであるから、当然であろう。よって、私たちがここ
での損益計算書で判読できるのは、ある会計期間における収益(収益という概
念か?)とある会計期間における費用(費用という概念か?)の内容と額、そし
て、その差額から当該会計年度において当該組織が会計期間対応で辻褄合わせ
の活動ができたか否かのみである。効率計算のみか、最近話題になった借金地
獄の公共事業体の活動指針など得ることはできない(これは一般の非営利体に
とっても同様である)。