| 減価償却と資産評価 | ||
| 2000/3/30 | ||
| 山 口 善 久 | ||
| 自治省は、平成12年3月29日地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研 | ||
| 究会からの報告として、地方自治体向けに、資産や負債の中身を示すバランスシ | ||
| ート(バランスシートと言って、貸借対照表とは言っていない)を作成する際の指 | ||
| 針を公表した。 | ||
| 通常バランスシートがあれば損益計算書があるのであるが、この報告ではこの損 | ||
| 益計算書については報告概要を見る限り触れられていない。 | ||
| さて、指針ではバランスシートの作成によって「行政活動の経営資源と、その経 | ||
| 営資源を調達するための財源の状況を総括的に表すことができる」としているが、 | ||
| 昨今話題になっている企業会計の見直しは、従来手法によって作成されている貸 | ||
| 借対照表に対する疑義から生じていることを指針はどう考えているのであろう | ||
| か。それとも指針におけるバランスシートの作成は従来手法とは異なるのであろ | ||
| うか。 | ||
| 行政活動の経営資源とは、バランスシートに資産として表示されるものを考える | ||
| のであろうが、その評価額は取得原価主義をとり、それに減価償却計算を組み合 | ||
| わせることによって算出されるようである。 | ||
| ここで問題は、バランスシートに表示された経営資源(資産)の実体は何かであり、 | ||
| 又、その含み損である。 | ||
| いうまでもなく経営体の活動により費消された価値は、費用として捉えられて損 | ||
| 益計算書に処理されるものと、資産として捉えられて貸借対照表に処理されるも | ||
| のとに分けられる。 | ||
| したがって、費消された価値が費用として捉えられず資産として捉えられて貸借 | ||
| 対照表に計上されればされるほど、貸借対照表が物語る経営状態は良好なものと | ||
| され、当然のこととして貸借対照表の対として作成される損益計算書も経営状態 | ||
| を良好のものとして報告する。 | ||
| さらにこの計算構造は、費用と資産の区分にかなりの恣意性が入る可能性がある | ||
| という大きな欠点をもっている。 | ||
| このような欠点がありながらも、貸借対照表と損益計算書との対による報告体系 | ||
| が長く続けられてきたのは、この報告が損益計算書主導であり、貸借対照表は従 | ||
| たる地位にあるという認識があったからといえよう。したがって、貸借対照表が | ||
| 表す経営状態(資産や負債や資本の状態)は、損益計算書の作成を前提にしたもの | ||
| であり、その時点における資産や負債をその時点における価値額で表してはいな | ||
| いと言うことは暗黙の了解としてあったのである。 | ||
| しかしながら、昨今の経済情勢は、貸借対照表にその目を向けざるを得なくなり、 | ||
| ここでその見直しに繋がっていったのではないだろうか。そして、これは何も企 業だけでなく、今ここで論じている地方自治体においても同様なのである。 にもかかわらず、新しく公表される指針が従来手法による貸借対照表論を基底お |
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| いていることに疑問を生じざるを得ない。 | ||
| 減価償却計算は、損益計算主体論における費用配分思考であり、資産の評価は、 貸借対照表にその主体性を持たしたものである。貸借対照表にその主体性を持た |
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| すのであれば、資産については減価償却思考でなく、評価思考を導入すべきであ | ||
| り、これを基底においた大きな立場に立った公会計の構造を求める必要があると | ||
| 考えるが、如何であろうか。 | ||
| ※ 指針は、バランスシートで何を判断しようとしているのであろうか。 | ||
| また、何が判断できるのであろうか。 | ||
| 行政活動の経営資源と、その経営資源を調達するための財源の状況を総括的 | ||
| に表すことができるのであろうか。 | ||
| ※ 減価償却概念の導入は、費用配分思考なのか。それとも資産評価の代替論な | ||
| のか。 | ||
| ※ 経営資源とは何か。資産とは何か。 | ||
| ※ 減価償却計算の導入は、耐用年数による資産と負債のバランス関係を念頭に | ||
| 置いているのであろうが、このような資産中心の考え方より、負債を耐用年 | ||
| 数期間以内で返済するという負債中心の考え方の方が、公会計には向いてい | ||
| るのではないだろうか。 | ||