監事の監査報告書(2)
 【宛先】 
                                 平成17年3月27日
                                  公認会計士 山口善久
                                          
1 従来の宛先
 旧私立学校法では、監事の職務としてその第37条第4項で「学校法人の財産の状況又は理事の業務執行状況について、理事に意見を述べること。」と定めるのみで、監査報告書については別段の定めをおいていない。しかし、この規定を受けて監事は監査報告書を作成するのが通例であり、その際の監査報告書の宛先は「学校法人○○学園 理事長 ○○○○ 殿」が使われていた。

2 私立学校法の改正
 平成16年に私立学校法が改正されて、平成17年4月1日から適用され、監事の職務が下記のように定められた。





 
改正私立学校法第37条(役員の職務)
3  監事の職務は、次のとおりとする。
一  学校法人の業務を監査すること。
二  学校法人の財産の状況を監査すること。
三  学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作
  成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び評議員会に提出すること。
 本条にみるように、従来は定めがなかった監事の監査報告書についてその作成が明らかにされ、さらにそれを理事会及び評議員会に提出することとされた。

3 監査報告書の宛先
 上記のように作成並びに提出についての定めが法に明らかにされたが、その様式・文例については法令及び文部科学省の通知等でも明らかにされていないので、いくつかの様式・文例が識者の案として発表されている。
 それによると、監査報告書の宛先の一つは従来通りの「学校法人○○学園 理事長 ○○○○ 殿」であり、今一つは「学校法人○○学園 理事会 御中」である。

4 「学校法人○○学園 理事会 御中」について
 理事会宛ての監査報告書は、改正私立学校法が「理事会」(及び評議員会)に監査報告書を提出することとしていることからとも考えられるが、真は私立学校振興助成法に基づく公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先が日本公認会計士協会の定め(平成17年2月15日学校法人委員会報告第36号「私立学校振興助成法第14条第3項の規定に基づく監査の取扱い」)で、宛先を理事会にするように改められたからと推量する。
 この委員会報告の改訂は、宛先について「私学法の一部を改正する法律(平成16年法律第42号)において、理事会が学校法人の必置の機関として定められた。この理事会が学校法人の業務を決し、理事の職務を監督する(私学法第36条)と定められていることから、原則として理事会宛とする」(委員会報告第36号U2.(3)宛先)としているが、その元は企業監査における公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先の改訂にあるものと思料する。











 
 確かに私立学校法第36条は、理事会について上記のように定めている。が、それに続いて第37条で「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」とも定めている。第36条が宛先を「理事会」とする根拠であるならば、この第37条はどのように読むのであろうか。
  



      
  

 
改正私立学校法第36条(理事会)
 学校法人に理事をもって組織する理事会を置く。
2 理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。
3 理事会は理事長が招集する。… 略 …
4 理事会に議長を置き、理事長をもって充てる。
5・6 … 略 …
改正私立学校法第37条(役員の職務)
 理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。
2 … 略 …
 企業監査における公認会計士又は監査法人による監査報告書の作成基準は、平成15年1月31日付け日本公認会計士協会監査委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針(中間報告)」にある。では、この報告が如何に検討されて纏められたかをみてみたい。その検討は、この報告書の公表に先立つ「公開草案」(平成14年7月29日)の説明にある。
 公開草案説明
  「3) 宛 先


















 
 法定監査においては、監査報告書に宛先を記載することの要否及び記載する場合に誰を宛先とするかについて特段の明文規定はないが、報告第64 号及び第67 号の監査報告書文例は「取締役社長」を宛先としていた。
 しかし、監査報告書は、監査の結果として、財務諸表に対する監査人の意見を表明する手段であるとともに、監査人が自己の意見に関する責任を正式に認める手段であるという本質に鑑みると、その宛先を「取締役社長」という個人名とすることが妥当か否かの問題があり、「株主各位及び取締役会」、「株主各位」、「取締役会」又は「監査役会」のように会社の機関宛てとすることが考えられる。
 国際監査基準(ISA)は、契約内容及び各国の法令に従うこととしているものの、通常、“Shareholders”あるいは“Board of directors”が宛先となるとしている。我が国においては、「株主各位」又は「取締役会」がこれに該当する。
 証券取引法に基づく監査人の選任は、通常、取締役会で行われ、会計監査人は、株主総会において選任されるため、証券取引法監査及び商法監査それぞれについて、宛先を定めることも考えられるが、両監査人には同一の公認会計士あるいは監査法人が選任されるのが通例であることから、監査報告書の宛先も同一とすることが合理的であり、かつ、我が国におけるコーポレート・ガバナンスの観点からは、「取締役会」が望ましいと考えられる。
 したがって、監査報告書の宛先を「取締役会」とする。ただし、商法特例法第13条第1項の規定により監査役会に提出する監査報告書については、監査役が会計監査人の監査報告書の調査を行うという提出目的から「監査役会」を宛先とすることも適当と考えられる。
 この公開草案説明にあるように「取締役社長」が個人名であるか否か、又は個人名とは何かについては疑問があるが、委員会報告は公認会計士又は監査法人による監査報告書の宛先を「取締役会」とした。
 しかし、商法特例法(
株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)は公認会計士又は監査法人の監査報告書の提出先を「監査役会及び取締役」としていることから、これを「取締役会」とすることには問題がないのであろうか。この点を懸念してか、先の公開草案は監査役会に提出する監査報告書については「監査役会」を宛先にすることも適当と考えられるとしている。
 以上検討してきたが、種々説明を付けて「取締役社長」から「取締役会」に変更させたにしては雑な説明のように思えてならない。要は、国際基準に合わせたということに過ぎないのではないか。
 このような事情を反映しているのか否かは判然としないが、委員会報告の公表にあたっての担当常務理事の「実務指針の公表について」では「本報告は、改訂監査基準に対応して、監査報告書の様式を国際的基準に準拠したものに大幅に改めたものであります。また、国際的な慣行に従い、監査報告書の表題を「独立監査人の監査報告書」とし、宛先を「取締役会」とする等の改訂も行われていますが、これらは原則であり、従来どおり「監査報告書」や「代表取締役宛」とすることもできます。」としている。「代表取締役」でもいいですよといっているのである。日本の慣行からはこの方が分かりよいとは思うが、この委員会報告以来は公認会計士又は監査法人の企業監査における監査報告書の宛先は「取締役会」が多数使用されているようである。







 
商法第261条
 会社は取締役会の決議をもって会社を代表すべき取締役を定ることを要す
学校法人委員会報告第36号の「原則」とは
 日本公認会計士協会の改正学校法人委員会報告第36号は、公認会計士又は監査法人の監査報告書の宛先を「原則として理事会宛とする。」としている。ここでの原則とは如何様な意味かは明らかでないが、上記の企業監査に係る委員会報告第75号公表に当たっての担当常務理事の「実務指針の公表について」の扱いと同様とすると、学校法人委員会報告第36号の「理事会宛」は「理事長宛」でもよいですよといっていることになるが、如何であろうか。
 今一つ。「取締役会」を宛先とされた監査報告書を、公認会計士又は監査法人は誰に提出するのであろうか。「取締役会」ですと答えがあるかもしれないが、取締役会は手も足もないのであるから受け取れないのではないかとの疑問がある。

5 商法における監査役の監査報告書
 商法第281条の3は、監査役の監査報告書を「取締役」に提出するとしている。


 
商法第281条ノ3
 監査役は前条第1項の規定に依り第281条第1項各号に掲ぐるものを受領したる日より4週間内に監査報告書を取締役に提出することを要す
 この商法における監査役の監査報告書の提出先の定めは、商法特例法における公認会計士又は監査法人の監査報告書の提出先の定めと同様で「取締役」である。とすると、監査役の監査報告書の宛先は、現在時において公認会計士又は監査法人の監査報告書と同様に「取締役会」になっているのであろうか。答えは否である。
 この点についての日本監査役協会の指針をみると、それは監査報告書のひな型に明らかである。ひな型は、大会社・中会社・小会社の例が示されているが、いずれも宛先がない。しかし、この宛先のない監査報告書に送り状を付けて、この送り状の宛先を「代表取締役社長」としている。監査報告書に宛先を記さなかったが、代表取締役社長に監査報告書を提出することを想定しているのであろう。
     大会社(商法特例法第2章の適用を受ける会社)の場合























































 
                        平成○年○月○日
○○○○株式会社
 代表取締役社長○○○○殿
                        監 査 役 会(注1)
          監査報告書の提出について

 当監査役会は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第14条第2項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。

                                 以上
        ……… 記載されている注については筆者略 ………
                監 査 報 告 書

 当監査役会は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の取締役の職務の執行に関して各監査役から監査の方法及び結果の報告を受け、協議の上(注2) 、本監査報告書を作成し、以下のとおり報告いたします。
   
1. 監査役の監査の方法の概要(注3)
 各監査役は、監査役会が定めた(注4)監査の方針(注5)、業務の分担(注6)等に従い、取締役会その他重要な会議に出席するほか、取締役等(注7)からその職務の執行状況を聴取し、重要な決裁書類等を閲覧し、本社及び主要な事業所において業務及び財産の状況(注8)を調査し、必要に応じて子会社に対し営業の報告を求めました(注9)。また、会計監査人から報告及び説明を受け(注10)、計算書類及び附属明細書につき検討を加えました。
 取締役の競業取引、取締役と会社間の利益相反取引、会社が行った無償の利益供与、子会社又は株主との通例的でない取引並びに自己株式の取得及び処分等に関しては、上記の監査の方法のほか、必要に応じて取締役等に対し報告を求め、詳細に調査いたしました(注11)。
        
2. 監査の結果(注12)
(1) 会計監査人○○○○(監査法人の名称又は公認会計士の事務所名もしくは氏名)の監査の方法及び結果は相当であると認めます。
(2) 営業報告書は、法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認めます。
(3) 利益処分に関する議案は、会社財産の状況その他の事情に照らし指摘すべき事項は認められません。
(4) 附属明細書は、記載すべき事項を正しく示しており、指摘すべき事項は認められません。
(5) 取締役の職務遂行に関する不正の行為又は法令もしくは定款に違反する重大な事実は認められません(注13)。
 なお、取締役の競業取引、取締役と会社間の利益相反取引、会社が行った無償の利益供与、子会社又は株主との通例的でない取引並びに自己株式の取得及び処分等についても取締役の義務違反は認められません。
 
3. 監査役○○○○の意見(異なる監査意見がある場合)
 
4. 後発事象(重要な後発事象がある場合)

                         平成○年○月○日
               ○○○○株式会社 監査役会
                常勤監査役(注14)○ ○ ○ ○ 印
                常勤監査役  ○ ○ ○ ○ 印
                監 査 役  ○ ○ ○ ○ 印
                 監 査 役  ○ ○ ○ ○ 印
                         (自 署(注15))
(注)監査役○○○○及び監査役○○○○は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第18条第1項に定める社外監査役であります(注16)。 
        ………記載されている 注については筆者略 ………
     中会社(商法特例法の適用を受けない会社)の場合








































 
                           平成○年○月○日
○○○○株式会社
  代表取締役社長○○○○殿
                  常勤監査役   ○ ○ ○ ○ 印
                     常勤監査役   ○ ○ ○ ○ 印
                     監査役   ○ ○ ○ ○ 印
           監査報告書の提出について
 私たち監査役は、商法第281条ノ3第1項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。
                            以上
 
               監 査 報 告 書
 私たち監査役は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の取締役の職務の執行を監査いたしました。その結果につき以下のとおり報告いたします。
1. 監査の方法の概要(注1)
 監査役は、取締役会その他重要な会議に出席するほか、取締役等からその職務の執行状況を聴取し、重要な決裁書類等を閲覧し、本社及び主要な事業所において業務及び財産の状況を調査し、必要に応じて子会社に対し営業の報告を求めました(注2)。また、会計帳簿等の調査を行い(注3)、計算書類及び附属明細書につき検討いたしました。
2. 監査の結果(注4)
(1) 会計帳簿は、記載すべき事項を正しく記載し、貸借対照表及び損益計算書の記載と合致しているものと認めます。
(2) 貸借対照表及び損益計算書は、法令及び定款に従い、会社の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めます。
(3) 貸借対照表(又は損益計算書)脚注××に記載のとおり、当営業年度に○○○に関する会計方針を××から△△に変更しておりますが、この変更は・・・・・・・・・の理由により相当なものと認めます(注5)。
(4) 営業報告書は、法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認めます。
(5) 利益処分に関する議案は、法令及び定款に適合し、かつ、会社財産の状況その他の事情に照らし指摘すべき事項は認められません。
(6) 附属明細書は、記載すべき事項を正しく示しており、指摘すべき事項は、認められません。
(7) 取締役の職務遂行に関する不正の行為又は法令もしくは定款に違反する重大な事実は認められません(注6)。
             平成○年○月○日
               ○○○○株式会社
                    常勤監査役(注7)  ○ ○ ○ ○ 印
                    常勤監査役  ○ ○ ○ ○ 印
                    監査役   ○ ○ ○ ○ 印
                             (自 署(注8))
      ………記載されている 注については筆者略 ………
     小会社(商法特例法第3章の適用を受ける会社)の場合



















 
                           平成○年○月○日
 ○○○○株式会社
    代表取締役社長○○○○殿
                   監 査 役   ○ ○ ○ ○ 印
                      監 査 役   ○ ○ ○ ○ 印
              監査報告書の提出について
 私たち監査役は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第23条第4項の規定に基づき、別紙のとおり監査報告書を提出いたします。
                            以上
               監 査 報 告 書
 私たち監査役は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの第○○期営業年度の貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分に関する議案及び附属明細書を監査いたしました結果、適法かつ正確であることを認めます。
             平成○年○月○日
                ○○○○株式会社
                   監 査 役(注1)  ○ ○ ○ ○ 印
                   監 査 役  ○ ○ ○ ○ 印
                             (自 署(注2))
                               以上
 
      ………記載されている 注については筆者略 ………
 
6 私立学校法における監事の監査報告書
 監事の監査報告書は、「理事会」及び「評議員会」に提出することとされている(私立学校法第37条第3項3号)。
 この定めからすれば、監査報告書の宛先は「理事会」及び「評議員会」が素直かもしれない。しかし、この宛先では企業における公認会計士又は監査法人の監査報告書について検討した項において触れたように誰が受け取るのであろうか。













 
 宛先を「理事会」や「評議員会」とせず、どちらも「理事会」とする考え方もあるようである。
 その根拠は?
 多分、上記でみたように企業の監査における公認会計士又は監査法人の監査報告書では監査委員会報告第75号で証券取引法に基づく監査も商法に基づく監査も宛先を同一にすることが望ましいとされたことからと思う。そして、この委員会報告はその理由を「
証券取引法に基づく監査人の選任は、通常、取締役会で行われ、会計監査人は、株主総会において選任されるため、証券取引法監査及び商法監査それぞれについて、宛先を定めることも考えられるが、両監査人には同一の公認会計士あるいは監査法人が選任されるのが通例であることから、監査報告書の宛先も同一とすることが合理的であり、かつ、我が国におけるコーポレート・ガバナンスの観点からは、「取締役会」が望ましいと考えられる。」と述べているがよく理解できない。
 また、この考え方を私立学校法のおける監事監査に適用させる考え方の合理性も見いだすことが出来ない。
 
 一つの解決としては、監事は理事会への出席が義務となった(改正私立学校法第37条第3項第6号)のであるから、宛先を「理事会」とした監査報告書を理事会に自ら持参して理事会で「どなたにお渡ししたらよいでしょうか」と問うて、理事会で指名されたものに提出することが考えられる。
  
 
改正私立学校法第37条第3項6号
 学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。
 さらに日本的な慣行によれば、誰か代表者を定めておいてそのものが受け取ることが考えられる。
   学校法人○○学園理事会
      代表  ○○○○ 殿
  (評議員会に提出の監査報告書とは別の監査報告書)
   学校法人○○学園評議員会
      代表  ○○○○ 殿
  (理事会に提出の監査報告書とは別の監査報告書)
 前者の方法は、理事会についてはその通りといえるが、評議員会については当て嵌めることができない。監事の評議員会への出席義務の定めが改正私立学校法にないからである。


 
 さらに、この方法だと評議員会のみならず理事会でも招集通知発送時点に監事の監査報告書を受領していないので会議の招集にあたっての送付資料に監事の監査報告書を入れることが出来ない。よって、この方法を採用することには問題がある。
 とすれば、後者の方法がここでの結論となろうが、これにおいても問題がないわけではない。
 その一つは、監事の監査報告書が「理事会」と「評議員会」の両者に別々に提出されると、その同一性を確認するために両者の監査報告書を常に一緒に読まなければならないことになる。これを回避するための解決は、宛先併記の監査報告書にすることである。
   学校法人○○学園理事会
      代表  ○○○○ 殿
  (評議員会と併記…評議員会宛の報告書と同一)   
   学校法人○○学園評議員会
      代表  ○○○○ 殿
  (評議員会と併記…理事会宛の報告書と同一)
 二つは、監査報告書の受取代表者を前もって決めておかなければならないことである。ここまでするのであれば、「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。」(第37条)としているのであるから、理事長に提出して何か問題があるのだろうか。
 また、理事会や評議員会を招集する者は理事長である(私立学校法第36条第3項・第41条第3項)ことから、理事長に監事の監査報告書(正本とはいわないが、謄本か写しでも)が届いていないと、会議の招集にあたっての送付参考資料に監事の監査報告書が入れられないことからしても、理事長が宛先であることには妥当性があるものと思料する。
 したがって、監事の監査報告書は従来通りの「理事長」宛でよいと考えたい。
   学校法人○○学園
      理事長 ○○○○ 殿
 そして、これは決して単なる個人宛ではなく、法人の代表者に宛てたものと思考する。学校法人の代表者である理事長に監査報告書を渡し、理事会及び評議員会に提出してくださいと依頼したものと考えるのだが如何であろう。























 
 
 
※ 評議員会議長を宛先とすることについての検討
 上記は、理事会及び評議員会ともに宛先を「理事長」とした。が、理事会についてはそれで「了」としても評議員会については「?」という意見もあろう。では、評議員会において理事会における理事長のような職の者がいるか。
 私立学校法第41条第4項は、「評議員会に議長を置く。」としている。議長とは「合議体を代表し、その活動を主宰する職務を担当するもの」(有斐閣・新法律学辞典)とされているので、評議員会の代表者として適格性があるものと考える。が、問題は私立学校法では、この評議員会議長は常置の職であるか否かである。同条第3項によると「評議員会は、理事長が招集する。」とされていることから常置の職務でないものと考える。常置の職でないのであれば、監事の監査報告書の提出時に評議員会の議長がいないのであるから、評議員会議長を宛先にすることは難しいこととなる。















 
(評議員会)
第41条  学校法人に、評議員会を置く。
2  評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて、組織する。
3  評議員会は、理事長が招集する。
4  評議員会に、議長を置く。
5  理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。
6  評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。
7  評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
8  前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。


 
 
追:究極(?)の解決策





 
 監査報告書の宛先は下記のようにして、それに理事長宛の送り状を添え、理事長に理事会及び評議員会へ提出を依頼することが考えられる。が、余りにも形式的であり、やはり、理事長宛が最良といえるかもしれない。
   学校法人○○学園
      理 事 会 御中
      評議員会 御中