基準基本金改正案(3)

                           平成16年4月24日

どうも基準改正の意見の流れをみていると、現行基準はあまり手を付けないで乗り切りたいようである。そこで、現行基準の修正を少なくして、現下の問題を解決できる手立てを以下に検討したい。ただし、基準を改正するとしたら、現行基準における当該年度の消費収支差額の見直しは避けることができない。この見直しの重要性は、前回の改正案追加(2)に述べた通りである。

当年度消費収支差額は、いうまでもなく【帰属収入−基本金組入額】で算出された消費収入と消費支出の差額概念である。そして、この概念は当年度の学校法人の経営状況の良否を表すものと皆は理解しているが、実態はこの消費収支差額が経営状況の良否を表していないのではないかということで、学校法人の実態分析等では全くといっていい程利用されてこなかったことは周知の通りである。

よって、今回、基準を改正するのであればこの点の工夫をするべきであって、仮にこの点の工夫をしない、若しくは、中途半端にするのであれば基本金に係る基準の改正をするべきではない。

では、どのように工夫すればよいのか。

基準を定めている第29条、第30条をいじらないということであれば、消費収支計算書でこの点の解決を図らざるを得ない。

現行の当年度消費収支差額が経営状況の良否の判断に役に立たないとされているのは、消費支出に対応させられる消費収入が基本金の組入れによって、当年度の概念で考えられるものではなくなっていることにある。

第29条、第30条を変更しないのであるから基本金組入額の総額は改正後も従来と同額である。よって、この総額を当年度の消費収入と皆が理解できるような控除基本金組入額とその他の基本金組入額に分解して、前者を当会計年度の帰属収入から控除、後者を当年度の消費収支差額を算出した後に控除する方式に変更する。具体的には次のような条文になろう。文言はより洗練されたものすることが必要かもしれないが、ここではその趣旨だけを受けてもらいたい。

○第16条

消費収入は、当該会計年度の帰属収入(学校法人の負債とならない収入をいう。以下同じ。)を計算し、当該帰属収入の額から当該会計年度において第29条及び第30条の規定により基本金に組み入れる額(当会計年度の帰属収入から組み入れる額に限る。)を控除して計算するものとする。

※ (当会計年度の帰属収入から組み入れる額に限る。) が現行基準に追加した部分である。

※ この方式にすると、(当会計年度の帰属収入から組み入れる額に限る。)とは何かが多分問題になろう。しかし、第29条も、第30条も変更をしていないのであるから、さほど難しいとは思わない。具体的には第30条で基本金対象とした資産等の財源を検討していくのであるから、収入全体を検討するのではなく限定されたものになっているのだから。

 どうも基準の在り方の検討会では、納付金の使途についても気にしているようであるが、これは基本金の問題ではない。設備資金は設備資金にしか使用しなければいけないのであれば、基本金問題ではなく納付金の取り方と使い方の問題であって、現に問題視しなければならない。国立大学等の公の大学は公が用意する大学運営経費(設備費も入る。以下同じ。)とそれ以外のものとを厳格に区分けをせざる得ないから、納付金のそれぞれに意義を持たせ、その使途を限定していたのであるが、私の学校にはその考え方はない。よって、納付金の意義は曖昧のまま今になっているのであり、私の学校の大方は納付金の名称をどのように区分していようが納付金の意義には全く区分の考え方がなく、これがそのまま通ってきたのである。今、これに問題あるというのであれば、基本金とは全く異なった視点からの検討が必要である。

 また、これが基本金と連動しても、設備資金の資金は取替更新資産の財源になることもあるのだから、この収入が無条件で基本金組入額になるわけではなく、さらに先に述べたように、第30条を変更していないので第30条でこの設備資金を対象資産の財源に学校がとらえない限り(現下の状況において、この設備資金収入を紐付き収入であると積極的に肯定する必要はないものと考える。)、基本金の上では全く無縁である。

 更にいうならば、この方式を理論的に受け入れられるのであれば、総論的にどこそこに問題有りというようなことは止め、一つひとつ検討、潰してみたら如何であろうか。

○第21条

 第1項第2号と第3号の間に次の定めを追加。第3号以下は号を繰り下げる。

三 第16条により帰属収入から控除した額を除く当該会計年度の基本金組入額

○第30条

 第30条については変更しないとしてきたが、一点のみについては手を付けたいことがある。それは、特定の固定資産の取得や基金のために受けた寄付等である。これらの資金を受けて第2号基本金や第3号基本金に設定されていれば問題ないが、第2号基本金や第3号基本金は基本金を組み入れる会計年度の前会計年度までに基本金組入計画が理事会等で決定されていることが必要である。よって、計画にない寄付金等を受けた場合にはこれまでの取り扱いでは解決できない。そこで、これらの寄付金等を受け、当該年度で固定資産の取得に充てられなかった場合には第2号基本金又は第3号基本金組入計画を作成し、かつ、その計画決定された年度と寄付金等の受入年度が同年度であってもその計画を認める必要がある。これらの取り扱いは、基準の条項を変更することなく通知によって可能と考える。

○第31条

 上記のような基本金の取り扱いにすれば、基本金の取り崩しはその額が第21条によって処理されるので、その処理は基本金と翌年度繰越消費収支差額の移動にすぎず、企業会計的には資本の部での移動なのであまり問題にする必要はない(本当は重要な問題なのだが)。ただし、基本金の実効性が損なわれないように基本金の取り崩しができない第30条資産について明らかにし、取り崩しの制限を加えるべきである。